鮮血の妖精姫は、幼馴染の恋情に気がつかない ~魔法特待の貧乏娘、公爵家嫡男に求婚されつつ、学園生活を謳歌します~
言われてみればそうかもしれない、と思うが、初めてのことゆえに、それで正解かどうかわからない。
その答え合わせがしたくて、マリアベルは自身が感じた想いを、彼に語り始める。
マリアベルは魔法の名手。だが、ただ才能があるだけでは、この年齢でそこまでの熟練度にはならない。気になったことは突き詰めていく、研究者のような性質も有しているのだ。
「私はあのとき、アーロン様が他の女性と親しくしているのを見て、なんだかもやもやして……。それ以上見たくないのに、目が離せなくて……。リリーナ様が婚約者候補だったという話も聞こえて。私のほうを見て、婚約者は私なのに、と思ってしまったのですが……。これは、嫉妬、なのでしょうか」
さっきは言いよどんだことを、結局、アーロンに語ってしまった。
傍らに座るアーロンはと言うと、ぐっとなにかをこらえる様に、胸を押さえている。
「まっ……待ってベル……。これ以上は僕のキャパが……」
「ただの友人、という言葉が本当のようで、安心もしました」
「畳みかけるね……!」
「……あの。アーロン様の婚約者は、私、ですよね……?」
「っ……! ソウ、ソウダヨ……!」
青い瞳を不安げに揺らすマリアベルに、アーロンは完全にノックアウトされた。
二人が出会ってから、もう10年ほどの時が経つ。
マリアベルに長年の片思いを続け、彼女の手の甲や髪にキスをしても、照れてすらもらえなかった男、アーロン。
ただの友人であることに安心した、婚約者は私なのに、といったマリアベルの言葉からは、アーロンを他の女性に取られてしまうのでは、という不安や、嫉妬心、独占したい心などがうかがえて……。
彼女にとって自分が「特別」「他の人にとられたくない存在」であることを理解することになり、アーロンはもだえ苦しんだ。
恋心が伝わらず、彼女の言う「好き」も自分と同じものではなさそうで。ずっとずっと片思いしていた男には、威力が高すぎたのである。見事なオーバーキルであった。
その答え合わせがしたくて、マリアベルは自身が感じた想いを、彼に語り始める。
マリアベルは魔法の名手。だが、ただ才能があるだけでは、この年齢でそこまでの熟練度にはならない。気になったことは突き詰めていく、研究者のような性質も有しているのだ。
「私はあのとき、アーロン様が他の女性と親しくしているのを見て、なんだかもやもやして……。それ以上見たくないのに、目が離せなくて……。リリーナ様が婚約者候補だったという話も聞こえて。私のほうを見て、婚約者は私なのに、と思ってしまったのですが……。これは、嫉妬、なのでしょうか」
さっきは言いよどんだことを、結局、アーロンに語ってしまった。
傍らに座るアーロンはと言うと、ぐっとなにかをこらえる様に、胸を押さえている。
「まっ……待ってベル……。これ以上は僕のキャパが……」
「ただの友人、という言葉が本当のようで、安心もしました」
「畳みかけるね……!」
「……あの。アーロン様の婚約者は、私、ですよね……?」
「っ……! ソウ、ソウダヨ……!」
青い瞳を不安げに揺らすマリアベルに、アーロンは完全にノックアウトされた。
二人が出会ってから、もう10年ほどの時が経つ。
マリアベルに長年の片思いを続け、彼女の手の甲や髪にキスをしても、照れてすらもらえなかった男、アーロン。
ただの友人であることに安心した、婚約者は私なのに、といったマリアベルの言葉からは、アーロンを他の女性に取られてしまうのでは、という不安や、嫉妬心、独占したい心などがうかがえて……。
彼女にとって自分が「特別」「他の人にとられたくない存在」であることを理解することになり、アーロンはもだえ苦しんだ。
恋心が伝わらず、彼女の言う「好き」も自分と同じものではなさそうで。ずっとずっと片思いしていた男には、威力が高すぎたのである。見事なオーバーキルであった。