鮮血の妖精姫は、幼馴染の恋情に気がつかない ~魔法特待の貧乏娘、公爵家嫡男に求婚されつつ、学園生活を謳歌します~
「ベル……。大好き……。ありがとう……。そんなふうに思ってもらえたなんて、嬉しいよ……」
あまりのことに、アーロンはぷるぷると震えながら両手で顔を覆い、「大好き」「ありがとう」「嬉しい」と言うだけになってしまって。
マリアベルは、なんだか変になってしまったアーロンの隣で、おろおろすることしかできない。
「あ、あの。アーロン様……?」
大丈夫ですか、という気持ちを込めて、そっと彼の肩に触れる。
すると、マリアベルからの接触にぴくっと反応したアーロンは、自分の顔を覆っていた手をそっと外した。
「……ベル」
「は、はい」
それから、真剣な瞳でじっとマリアベルを見つめていたかと思うと――。
今度は、彼女の肩にそっと腕をまわして、優しく抱き寄せた。
「っ……! あ、アーロン様!?」
アーロンの腕の中で、マリアベルはあわあわとしながらも頬を染める。
暴れる、というほどではないが、慌てたマリアベルはそれなりにもぞもぞと動いていた。
「……ダメ、かな」
「そ、そういう、わけでは……ありませんが……」
けれど、耳元から聞こえる彼の声のせいで、なんだか力が抜けてしまって。
大好きな――そう、マリアベルは彼のことが、大好きなのだ――アーロンの逞しい腕に抱かれて、体温も、吐息も、すぐそばに感じられて。
破裂してしまいそう、と思うぐらいに心臓がどくどくいっているけれど、こうしてくっつくことを嫌だとは思わなくて。
すっかり大人しくなったマリアベルは、自身の手を、彼の腕に添えた。
そうすると、ドキドキするけど、安心できて、なんだか幸せな気もして……。と、不思議な気分になる。
「……アーロン様」
「……ん? なんだい?」
そう答えるアーロンの声は、とても穏やかだ。
ずっとマリアベルを見てきた彼は、わかっているのだ。マリアベルが、自分にこうされることを嫌がってはいないと。
彼女との距離が、確実に縮まってきていると。
マリアベルは、ちょっとだけ迷う様子を見せてから、えい、と自分からも彼に身体を寄せた。
彼女のその行動に、より近くなった体温に、アーロンは一瞬だけ、驚きに瞳を瞬かせて。
けれどすぐに愛おしさと喜びが押し寄せてきて、愛しい人を抱きしめながら目を閉じた。
あまりのことに、アーロンはぷるぷると震えながら両手で顔を覆い、「大好き」「ありがとう」「嬉しい」と言うだけになってしまって。
マリアベルは、なんだか変になってしまったアーロンの隣で、おろおろすることしかできない。
「あ、あの。アーロン様……?」
大丈夫ですか、という気持ちを込めて、そっと彼の肩に触れる。
すると、マリアベルからの接触にぴくっと反応したアーロンは、自分の顔を覆っていた手をそっと外した。
「……ベル」
「は、はい」
それから、真剣な瞳でじっとマリアベルを見つめていたかと思うと――。
今度は、彼女の肩にそっと腕をまわして、優しく抱き寄せた。
「っ……! あ、アーロン様!?」
アーロンの腕の中で、マリアベルはあわあわとしながらも頬を染める。
暴れる、というほどではないが、慌てたマリアベルはそれなりにもぞもぞと動いていた。
「……ダメ、かな」
「そ、そういう、わけでは……ありませんが……」
けれど、耳元から聞こえる彼の声のせいで、なんだか力が抜けてしまって。
大好きな――そう、マリアベルは彼のことが、大好きなのだ――アーロンの逞しい腕に抱かれて、体温も、吐息も、すぐそばに感じられて。
破裂してしまいそう、と思うぐらいに心臓がどくどくいっているけれど、こうしてくっつくことを嫌だとは思わなくて。
すっかり大人しくなったマリアベルは、自身の手を、彼の腕に添えた。
そうすると、ドキドキするけど、安心できて、なんだか幸せな気もして……。と、不思議な気分になる。
「……アーロン様」
「……ん? なんだい?」
そう答えるアーロンの声は、とても穏やかだ。
ずっとマリアベルを見てきた彼は、わかっているのだ。マリアベルが、自分にこうされることを嫌がってはいないと。
彼女との距離が、確実に縮まってきていると。
マリアベルは、ちょっとだけ迷う様子を見せてから、えい、と自分からも彼に身体を寄せた。
彼女のその行動に、より近くなった体温に、アーロンは一瞬だけ、驚きに瞳を瞬かせて。
けれどすぐに愛おしさと喜びが押し寄せてきて、愛しい人を抱きしめながら目を閉じた。