鮮血の妖精姫は、幼馴染の恋情に気がつかない ~魔法特待の貧乏娘、公爵家嫡男に求婚されつつ、学園生活を謳歌します~
 アーロンの頑張りの甲斐もあってか、マリアベルは徐々に笑顔を見せるようになっていく。
 初めてマリアベルの笑顔を見たときには、もうドキドキが止まらなかったものだ。
 元気になって欲しい、というアーロンの想いが届いたのか、マリアベルもすっかりアーロンに懐き。
 アークライト邸でアーロンの姿を見つけたマリアベルは、「アーロンさま!」と笑顔で駆け寄ってくるようになった。
 最高に可愛くて、なんかもう本当に最高だった。
 まだ6歳ほどのアーロン。1つ下の妖精みたいな女の子に、デレデレであった。
 
 名家の嫡男であるアーロンは、貴族のご令嬢にアピールされることはあれど、自分が女の子に対して一生懸命になることはなかった。
 この年にして、貴族の男女の関係に悟りを開きかけていたレベルである。
 年上のお姉さんが優しくしてくれたと思ったら、嫡男の嫁の座を手にするために親切にしてくれただけだと判明したりもしており。
 アーロン、女性不信一歩手前であった。
 そんな少年が、年相応に女の子に恋をして、笑いあっているものだから、アークライト家の使用人もほっこりとした気持ちで二人を見守っていた。
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