鮮血の妖精姫は、幼馴染の恋情に気がつかない ~魔法特待の貧乏娘、公爵家嫡男に求婚されつつ、学園生活を謳歌します~
「……ベル。正直に、答えてくれないかな。きみは、学院に通いたい?」
「それは……」
「たしかに、きみが学生になれば、領地の守りは薄くなる。それをきみが不安に思うのも理解できる。だから、無理に入学しろとは言わないよ。でも、もしも入学を希望するなら、僕も力になれるかもしれない。素直な気持ちを、教えて欲しい」
「わたし、は……」
マリアベルが、きゅっと唇をかんだ。
少しの沈黙ののち、彼女は顔を上げる。
空色の瞳が、アーロンをまっすぐにとらえた。
「王立学院に、通いたい、です」
叶うはずのない夢を口にしているかのような、どこか苦し気な言葉。
きっと、これがマリアベルの本心なのだろう。
「そっか。わかった」
彼女の願いを聞き届けたアーロンは、ふっと優しく微笑んだ。
後日、マニフィカ伯爵家に、王立学院から手紙が届く。
手紙、とはいったものの、封筒は大きい。
それなりのサイズの紙を、折り曲げずに入れられる程度の作りだ。
どうせ入学できないと諦めていたから、マリアベルから学院に接触したことはない。
なのに何故、自分宛てにこんなものが届くのだろう。
「なにこれ? なんか分厚いし……」
はて、と思いながらも、マリアベルは封筒の中身に目を通す。
そこには、なんと。
「それは……」
「たしかに、きみが学生になれば、領地の守りは薄くなる。それをきみが不安に思うのも理解できる。だから、無理に入学しろとは言わないよ。でも、もしも入学を希望するなら、僕も力になれるかもしれない。素直な気持ちを、教えて欲しい」
「わたし、は……」
マリアベルが、きゅっと唇をかんだ。
少しの沈黙ののち、彼女は顔を上げる。
空色の瞳が、アーロンをまっすぐにとらえた。
「王立学院に、通いたい、です」
叶うはずのない夢を口にしているかのような、どこか苦し気な言葉。
きっと、これがマリアベルの本心なのだろう。
「そっか。わかった」
彼女の願いを聞き届けたアーロンは、ふっと優しく微笑んだ。
後日、マニフィカ伯爵家に、王立学院から手紙が届く。
手紙、とはいったものの、封筒は大きい。
それなりのサイズの紙を、折り曲げずに入れられる程度の作りだ。
どうせ入学できないと諦めていたから、マリアベルから学院に接触したことはない。
なのに何故、自分宛てにこんなものが届くのだろう。
「なにこれ? なんか分厚いし……」
はて、と思いながらも、マリアベルは封筒の中身に目を通す。
そこには、なんと。