鮮血の妖精姫は、幼馴染の恋情に気がつかない ~魔法特待の貧乏娘、公爵家嫡男に求婚されつつ、学園生活を謳歌します~
「特待制度適用のお知らせ……!?」

 マリアベルを、魔法の特待生として学院で受け入れたい、学費は免除する、といった内容が書かれていた。
 封筒が分厚かったのは、入学関係の書類も同封されていたからだ。
 マリアベルのほうから制度の適用を頼んだことはなく、あまりにも突然のことで。

「学費を免除するって、学費を免除するってこと……!?」

 こんなことを口走る程度には、混乱していた。
 特待生として受け入れる、学費は免除する、の意味は、特待生として受け入れるから学費は免除する、である。
 何度読んだって、学費免除での受け入れができると通達された事実は、変わらない。

「じゃあ、私、入学できるんだ……」

 封筒を胸に抱き、マリアベルは呆然と呟いた。


 
 ちなみにこれは、アーロンの計らいによる措置であった。
 最初はアークライト家から学費を出せないかと考えたのだが、それではマリアベルが気にすると思った。
 だから、学院の特待制度を利用することにした。
 アーロンが学園長に話を通せば、すんなりと特待制度適用の許可が出た。
 マリアベルの腕前なら、特待ぐらい余裕なのである。
 国としても、マリアベルほどの逸材を高等教育もせずに逃したくなかったのだろう。

 貧乏伯爵令嬢、マリアベル。
 特待枠での学費免除により、王立学院への入学が決定した。
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