鮮血の妖精姫は、幼馴染の恋情に気がつかない ~魔法特待の貧乏娘、公爵家嫡男に求婚されつつ、学園生活を謳歌します~

パーティーに向けて はしゃぐ令息と、涙目のご令嬢

 この通知が来てからの展開は、早かった。
 家族はもちろん、領民たちもマリアベルが特待生として王立学院に通えることになったことを祝福し。
 もちろん、入学の手続きもすぐに行って。
 マリアベルは、春から王立学院の一員となることが決まった。



「……と、いうわけなんです!」
「そっか。それはよかった。きみなら特待扱いでも、なんらおかしくはないからね」

 ここまでのことを、マリアベルはアーロンに報告する。
 ちなみに、本日は入学決定のお祝いだとかで、アークライト公爵邸でご飯をいただいている。
 マニフィカ家では到底お目にかかれないような高級食材を使用した、手の込んだ料理を次々に提供されて、食いしん坊なマリアベルは大喜び。
 貧乏娘の彼女が気兼ねなく過ごせるよう配慮したのか、ダイニングには最低限の人員しか配置されていない。

「でも、不思議なんですよねえ。私たちのほうからは、学院になにも言ってないんです。特待生として、勝手に選出されることもあるんでしょうか……」
「マニフィカ家からなんの動きもないことを不思議に思って、学院のほうで色々と調べてみたんじゃないかな?」
「たしかに、事情を知らなければ『なんで手続き進めないの?』って感じですもんねえ。一応、伯爵家ですし。貴族なのに学費免除の特待枠とか、流石にちょっと笑っちゃいましたよ」

 元々は平民用の枠なのに、とマリアベルは朗らかに笑った。
 入学に関して手を回したのはアーロンなのだが、自分がやりましたと名乗り出る気はないらしい。
 そういうこともあるんだね、よかったね、とにこやかにマリアベルの話を聞いていた。

「そうだ、ベル。入学直後に、パーティーがあるのは知っている?」
「ああ、そういえば。そんなことも書いてあったような気がします」

 普通のご令嬢ならもちろん知っているのだが、マリアベルは入学を諦めていた身。
 さらには、社交の場にもほとんど出ていなかったため、そういった話を聞く機会もなかった。
 手続き後に届いた学校行事の案内を見て、「へーパーティーがあるんだ」と思った程度だった。

「その感じだと、どんな内容なのかよくわかってなさそうだね……」

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