鮮血の妖精姫は、幼馴染の恋情に気がつかない ~魔法特待の貧乏娘、公爵家嫡男に求婚されつつ、学園生活を謳歌します~
「わあー愛されてますねえ……」
「戦闘特化型同士なだけよ?」
サナの言葉に、マリアベルは首をかしげる。
たしかにいたれりつくせりだが、別にアーロンに愛されているわけじゃない。
アーロンは武の家の嫡男……脳筋仲間だから、貧乏なマリアベルのことを気にかけてくれているだけだ。
付き合いも長いし、優しい彼は、ドレスすら用意できないマリアベルのことを、放っておけないのだろう。
「いやいや、愛ですってこれは」
「婚約者でもないのに、愛って……」
まあ、貴族の婚約と愛がイコールではないことぐらいは、一応知っているのだが。
マリアベルはアーロンの婚約者ではないし、そういった話を持ち込まれたこともない。
これでも伯爵家の娘だ。どれも破談になったが、婚約を見据えて令息に会ったことぐらいはある。
だが、アーロンからそういった話は出ない。
マリアベルのことを、結婚相手としては見ていないのだろう。
そりゃあそうだ。アーロンの家柄、容姿、能力なら、相手など選び放題なのだから。
なにが悲しくて、わざわざ貧乏貴族の娘、それも鮮血女を婚約者に据えるというのか。
「アーロン様は、幼馴染の貧乏娘を気遣ってくれているだけよ」
「マリアベル様。まさか……」
サナが口をおおう。えっ、嘘でしょ、とでも言いたげだ。
「まさか?」
サナの言葉の続きを待つ。まさか、なんだというのだろう。
「アーロン様の寵愛に、本当に気が付いてな……」
寵愛。そんな言葉が含まれたサナの声は、より大きな男の叫び声にかき消された。
「魔物の群れが出たぞー! 早く隠れろー!」
領民の男性が、必死に町を駆け回っている。
早く逃げろ、隠れろと。
それまでのほほんとしていたマリアベルの雰囲気が、すっと変わる。
「おじさま! 場所は!?」
「マリアベル様! 森の南西です! 警備隊の数名がすでに交戦中なので、すぐに見つかるかと!」
「わかった! ありがとう!」
マリアベルは、森に向かって駆けだした。
「戦闘特化型同士なだけよ?」
サナの言葉に、マリアベルは首をかしげる。
たしかにいたれりつくせりだが、別にアーロンに愛されているわけじゃない。
アーロンは武の家の嫡男……脳筋仲間だから、貧乏なマリアベルのことを気にかけてくれているだけだ。
付き合いも長いし、優しい彼は、ドレスすら用意できないマリアベルのことを、放っておけないのだろう。
「いやいや、愛ですってこれは」
「婚約者でもないのに、愛って……」
まあ、貴族の婚約と愛がイコールではないことぐらいは、一応知っているのだが。
マリアベルはアーロンの婚約者ではないし、そういった話を持ち込まれたこともない。
これでも伯爵家の娘だ。どれも破談になったが、婚約を見据えて令息に会ったことぐらいはある。
だが、アーロンからそういった話は出ない。
マリアベルのことを、結婚相手としては見ていないのだろう。
そりゃあそうだ。アーロンの家柄、容姿、能力なら、相手など選び放題なのだから。
なにが悲しくて、わざわざ貧乏貴族の娘、それも鮮血女を婚約者に据えるというのか。
「アーロン様は、幼馴染の貧乏娘を気遣ってくれているだけよ」
「マリアベル様。まさか……」
サナが口をおおう。えっ、嘘でしょ、とでも言いたげだ。
「まさか?」
サナの言葉の続きを待つ。まさか、なんだというのだろう。
「アーロン様の寵愛に、本当に気が付いてな……」
寵愛。そんな言葉が含まれたサナの声は、より大きな男の叫び声にかき消された。
「魔物の群れが出たぞー! 早く隠れろー!」
領民の男性が、必死に町を駆け回っている。
早く逃げろ、隠れろと。
それまでのほほんとしていたマリアベルの雰囲気が、すっと変わる。
「おじさま! 場所は!?」
「マリアベル様! 森の南西です! 警備隊の数名がすでに交戦中なので、すぐに見つかるかと!」
「わかった! ありがとう!」
マリアベルは、森に向かって駆けだした。