鮮血の妖精姫は、幼馴染の恋情に気がつかない ~魔法特待の貧乏娘、公爵家嫡男に求婚されつつ、学園生活を謳歌します~

妖精姫の再来

 ドレスは既に仕立て始めている。
 髪や肌の手入れを担当する者は、近々マニフィカ家に送る。
 パーティー当日は、アークライト家で送迎を行う。
 当日の準備から、解散までのスケジュール。

 そんなことを、アーロンと共に確認していく。
 貴族のお嬢さんらしいことなどしてこなかったマリアベル。
 ドレスの好みを聞かれてもちんぷんかんぷんだったため、デザインはアーロンとアークライト家にお任せしてある。

 先に行われたドレスの打ち合わせと採寸の際、マリアベルがおずおずと

「あのう……。まっっったく、それはもうびっくりするほど、今の流行も、なにが似合うのかもわからないので、お任せしてもよろしいでしょうか……?」

 と言ってきた際には、アーロンは天にも昇る気持ちになったものだ。
 自分好みの、彼女に似合うと思ったドレスを着せていい。
 大事な晴れ舞台で身に着けるものを、自分が選んでいい。
 好きな子が、自分という男の選んだドレスを身に着ける――!
 そういうことだからだ。
 申し訳なさそうにする彼女への、アーロンの答えは。

「もちろん! 任せて!」

 だった。
< 26 / 113 >

この作品をシェア

pagetop