鮮血の妖精姫は、幼馴染の恋情に気がつかない ~魔法特待の貧乏娘、公爵家嫡男に求婚されつつ、学園生活を謳歌します~
 マリアベルとコレット、女子二人のランチに、それっぽい理由をつけて混ざることに成功したアーロン。
 二人に「すごいお弁当ですね」なんて言われて苦笑しながらも、愛しのベルとの婚約話を、早く進めなければと考えていた。
 アーロンとて、マリアベルとともに登下校する自分を見る女子の視線や、今日のクラリスの態度で、彼女がいじめられる原因の1つが自分にあると気が付いていた。
 もちろん、自分が女子に人気のある物件であることも理解している。
 婚約もしていないのに、アーロンがマリアベルを特別扱いするから、彼女は他の女性に敵視されているのだ。

 婚約者でもないくせに、と思われるのなら、婚約してしまえば問題ない。
 結婚の約束さえしてしまえば、アーロンは今まで以上にマリアベルのサポートもできるだろう。
 学食を使う費用や弁当を受け取ってもらえるかもしれないし、ドレスや装飾品も「婚約者へのプレゼントだ」と言って堂々と渡すことができるようになる。
 今は制服通学をするマリアベルだが、上手くいけばアーロンが贈った私服で登校してくれる可能性だってある。
 そんなの、考えるだけでもう最高である。


 婚約の話は、現在調整中。
 突然のプロポーズをかましてしまいました、と正直に白状したうえで、正式に話を進めたいとアークライト家に……当主である自身の親に掛け合っているところだ。
 アークライト公爵家は強さを重んじる家系だから、おそらく、マリアベルと婚約したい旨は了承されるだろう。
 いずれ、マニフィカ家に正式に婚約を申し込むことになるはずだ。
 だが、今すぐに、とはいかない。
 婚約者として彼女を守れないこと、堂々と隣に立てないことが、歯がゆかった。
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