鮮血の妖精姫は、幼馴染の恋情に気がつかない ~魔法特待の貧乏娘、公爵家嫡男に求婚されつつ、学園生活を謳歌します~
 この二人は、一体どんな関係なのだろう。
 コレットの疑問は、日に日に深まっていく。
 アーロンがマリアベルに懸想しているのはよくわかる。
 けれど、マリアベルはどうなのか。
 彼のことを嫌っているとは思えない。では、好きなのだろうか。そんな感じにも見えない。
 幼馴染だという話だから、もしやこの年にして熟年夫婦のようなものなのだろうか?
 デレデレの夫と、もう慣れっこだからいちいち反応しない妻。
 うん、それならわからなくもない。
 婚約者ではないと聞いているが、幼馴染という話だし、婚約内定みたいなものなのかもしれない。

 うんうんなるほど。それなら合点がいく……いくかなあ!?

 毎日毎日、アーロンの「ベル大好き」とそれをスルーするマリアベルを見せつけられるコレット。
 もはや、ただ見守るだけではいられなくなった。

 ある日の放課後、魔研活動中。
 魔法特待生というだけあり、コレットもマリアベルも魔研では大人気。
 マリアベルに関しては、魔法の使い方が独特すぎてもはや本人がメンバーの研究対象になっているし、コレットも治癒や支援の魔法について様々なことを聞かれる。
 それでもなんとか二人で話せそうなタイミングを狙い、コレットはマリアベルに話しかけた。

「あの、マリアベル様」
「どうしたの、コレット」
「マリアベル様とアーロン様は、どういったご関係なんですか……?」
「えっと……アーロン様とは幼馴染で……」

 幼馴染の一言で済ませるには、アーロン様からの気持ちが大きすぎませんか、と思いながらも、コレットはマリアベルの話を聞き続ける。
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