鮮血の妖精姫は、幼馴染の恋情に気がつかない ~魔法特待の貧乏娘、公爵家嫡男に求婚されつつ、学園生活を謳歌します~
 武の名門に、魔法使いの血を取り入れ、武術と魔法の両面から家を強化していく。
 そのために魔法の名手であるマリアベルが、嫁として選ばれた。
 うん、わかるわかる。
 わかるし、その線も完全に間違いではないと思うが……アーロンのあの態度は、魔力量の高い妻が欲しいだけには見えない。
 
「近々正式に婚約の話をすると言っていたけれど……。まだ来ないし、やっぱり私では不十分とされたんじゃないかしら」

 やっぱりそうよね、そういう家系じゃないもの、とマリアベルは一人納得した様子で頷いている。
 マリアベルの中では、アークライト家は魔法の力を高めようとしている、そして自分ではそのために迎える妻として不適当であった、という話になっているようだ。
 ここまでマリアベルの考えを聞いてきた中で、コレットの中には1つの疑問が浮かんでいた。
 彼女はあくまで、自分は魔力の高い家系ではない、アーロンの期待には応えられない、と思っているだけ。
 結婚したくない、彼との子供なんて嫌だ、といった言葉は、1つも出てきていないのだ。

「あ、あのう……。1つお聞きしたいのですが、マリアベル様自身は、アーロン様とのご結婚や、その……子供を持つことを、嫌だとは、思っていないのですか?」
「ええ。貧乏伯爵家とはいえ、これでも貴族だもの。破談続きではあったけど……嫁いで子を持つ覚悟は、少しはしているつもりだわ」
「マリアベル様……」
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