鮮血の妖精姫は、幼馴染の恋情に気がつかない ~魔法特待の貧乏娘、公爵家嫡男に求婚されつつ、学園生活を謳歌します~
 クラリスが言うには、マリアベルとコレットが、彼女を危機から救ったらしい。
 魔法の実習授業中、他の生徒の魔法が暴走。
 大きな土人形が暴れ始め、多くの生徒はすぐに逃げたものの、ぼーっとしていたクラリスは逃げ遅れて。
 このままでは、踏みつぶされる。
 そう思ったとき、クラリスの周囲には防御結界が張られ、それとほぼ同時に、複数の大きな水の弾が土人形にぶつけられた。
 水を浴びて脆くなったところに、追加で水の刃が放たれて、土人形はぼろりと崩れ去った。
 そうしてクラリスを守ったのが、魔法特待生のマリアベルとコレットだったのである。

 魔法が当たったり、土人形の残骸を浴びたりして怪我をしないよう、コレットに防御の指示を出したのもマリアベルだったそうで。
 クラリスは、自分を救ってくれたその人に、惚れ込んだ。
 嫌がらせをしていた相手だというのに、迷うことなく助けてくれたものだから、なおさらだろう。

「それから、マニフィカ領についても調べてみて……。ベルお姉さまは、魔物の被害に苦しむ領地と領民のためにずっと頑張っていたんだってわかって……。なんてかっこいいお方なのだろうと、そう思ったのです……!」
「……なるほどね。ベルに助けられて……」
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