鮮血の妖精姫は、幼馴染の恋情に気がつかない ~魔法特待の貧乏娘、公爵家嫡男に求婚されつつ、学園生活を謳歌します~
「あ、アーロン様!?」
抱擁ともなれば、流石のマリアベルもちょっと焦る。
髪や手の甲へのキスはこれまでにも経験があったが、抱きしめられるのは初めてだった。
こんなにも密着したら、色々と伝わってきてしまう。
身長が高くすらっとしていて、顔立ちも甘いから、一見細身にも見える彼だが、本当はしっかりした身体つきをしていて。
彼とくっついたことで、女性の自分とは、体格も身体の作りも違うことを、理解させられた。
アーロンは、マリアベルよりもずっと大きい。
服ごしであっても、女性のマリアベルのようにぷにぷにと柔らかくないことがわかる。
彼が「男性」であることを感じ、マリアベルは、アーロンの腕の中で動けなくなってしまった。
抱きしめ返すこともできず、手の行き場がないまま慌てるマリアベルとは対照的に、アーロンは落ち着いていて。
今このときを、噛み占めているようだった。
事実、アーロンは、こうして彼女に触れることができるのも、最後かもしれないと覚悟を決めていた。
もし、マリアベルがこの先の話を拒み、他の男を選ぶのなら、婚約者でもない彼は、マリアベルから離れるしかないからである。
アーロンは、期待と不安の両方を抱いて、愛しい人をその胸に抱いていた。
これが最後になんてならないようにと、祈って。
「……ベル。これからの話を、どうか受け入れて欲しい。……大好きなんだ」
「……アーロン、さま……?」
どれくらい、そうして抱きしめられていたのだろうか。
そっと離れてくれたと思ったら、今度は名残惜しそうに額にキスを落とされる。
「それじゃあ、そろそろ行くね。いい返事がもらえるよう、祈っているよ」
そう言うと、アーロンは颯爽と馬車に乗り込んで立ち去ってしまう。
マニフィカ邸の前に残された、マリアベルはといえば。
――だからなんの話ですか、アーロン様……!
と、混乱していた。
しかし、帰宅後すぐに、マリアベルはアーロンの言う「正式に話がいっている」「いい返事」の意味を、理解することとなる。
抱擁ともなれば、流石のマリアベルもちょっと焦る。
髪や手の甲へのキスはこれまでにも経験があったが、抱きしめられるのは初めてだった。
こんなにも密着したら、色々と伝わってきてしまう。
身長が高くすらっとしていて、顔立ちも甘いから、一見細身にも見える彼だが、本当はしっかりした身体つきをしていて。
彼とくっついたことで、女性の自分とは、体格も身体の作りも違うことを、理解させられた。
アーロンは、マリアベルよりもずっと大きい。
服ごしであっても、女性のマリアベルのようにぷにぷにと柔らかくないことがわかる。
彼が「男性」であることを感じ、マリアベルは、アーロンの腕の中で動けなくなってしまった。
抱きしめ返すこともできず、手の行き場がないまま慌てるマリアベルとは対照的に、アーロンは落ち着いていて。
今このときを、噛み占めているようだった。
事実、アーロンは、こうして彼女に触れることができるのも、最後かもしれないと覚悟を決めていた。
もし、マリアベルがこの先の話を拒み、他の男を選ぶのなら、婚約者でもない彼は、マリアベルから離れるしかないからである。
アーロンは、期待と不安の両方を抱いて、愛しい人をその胸に抱いていた。
これが最後になんてならないようにと、祈って。
「……ベル。これからの話を、どうか受け入れて欲しい。……大好きなんだ」
「……アーロン、さま……?」
どれくらい、そうして抱きしめられていたのだろうか。
そっと離れてくれたと思ったら、今度は名残惜しそうに額にキスを落とされる。
「それじゃあ、そろそろ行くね。いい返事がもらえるよう、祈っているよ」
そう言うと、アーロンは颯爽と馬車に乗り込んで立ち去ってしまう。
マニフィカ邸の前に残された、マリアベルはといえば。
――だからなんの話ですか、アーロン様……!
と、混乱していた。
しかし、帰宅後すぐに、マリアベルはアーロンの言う「正式に話がいっている」「いい返事」の意味を、理解することとなる。