問題ありの義弟は、義姉に独占欲強め。
「は?ちげーし、ふざけんな
俺への当てつけなの?あいつ、ふざけんな」
「あいつって?」
「羽那が、よぎくんって言ってるやつ」
「よぎくんはよぎくんだよ?」
「へぇ、俺を怒らせておいて、
〝よぎくん〟の味方するんだ?羽那は」
まるで、
〝よぎくん〟を強調したゆっくんの言い方。
「ち、違うもん!!よぎくんはよぎくん!
ゆっくんは、ゆっくんだもん!」
私は、ゆっくんに分かって貰おうと大声を出した。
「はー、羽那。お前さ、覚えとけよ?」
ゆっくんは、
感情が読めない声を出してから、
くるりと別の方向を向いてしまった。
「ゆっくん?」
「いや、今は寝たら?つか、寝てろ」
いつの間にか、命令口調のゆっくん。
「ゆっくん、」
私は、小さく呼んで手を差し出す。
すると、握ってくれたゆっくん。
その、ゆっくんの暖かさに安心して、私は意識を手放した。
それと同時にふわっと、蘇ってきた、
──────よぎくんにキスされた記憶。
それを、ゆっくんに上書きして欲しいと強く願った。