わたしだけの吸血鬼
◇
授業と部活を終え帰宅した私は、テーブルを見てうめいた。
「本当にピーマンだらけ……!」
「自業自得だろ」
テーブルには夜紅さんお手製のピーマンの肉詰め、おひたし、ナムルがずらりと並べられていた。
「ピーマンくらい食えるようになれよ。いつまでも子どもじゃないんだ」
「まだ子どもでいいですー!」
私は夜紅さんが作ってくれたピーマン料理を、頑張って胃袋の中に流し込んだ。これがあと六日続くのかと思うと、げんなりする。
「ほら、これでも食べとけ」
夜紅さんが口直しにとテーブルに置いたのは、コンビニで売っている桃のシャーベットアイス。私が最近ハマっているアイスだ。
(よく見てるな……)
こんな些細な気遣いでさえ、飛び上がりたくなるほど嬉しくなってしまう。私は夢見心地でシャーベットアイスを完食した。