わたしだけの吸血鬼
(この時期に転校生?)
夜紅さんと同じくらい顔が整っている男性を初めて見たかもしれない。
自己紹介を終えた士門くんがこちらにやってくる。ぷんと薔薇のような匂いが立ち込める。柔軟剤の香りにしては、匂いが生々しい。
「よろしく」
「あ、うん。よろしく」
士門くんは私の隣の席に着席した。教科書が届くまでの間、隣の席ということもあり、教科書を見せてあげることになった。
(近くで見ると美形なのがよくわかるな……)
肌はきめ細かく滑らかで、長いまつ毛が扇形の影を作っている。唇は薄くて綺麗なピンク色。
「僕の顔に何かついてる?」
「あ、ううん!ジロジロ見てごめんね!」
士門くんが微笑むと、また薔薇の香りが立ち込めた気がした。