わたしだけの吸血鬼



 士門くんが転校して来てから三日。

 今や、彼はすっかりクラスの人気者だった。
 勉強もスポーツも士門くんはその才能を遺憾なく発揮した。誰にでも親切で、謙虚な彼は男女問わず好かれた。

「手伝うよ」
「ありがとう」

 私が日直の仕事でノートを職員室に運ぼうとしていると、ありがたいことに士門くんが手伝いに立候補してくれた。紳士がすぎる。

「学校にはもう慣れた?」
「うん。この学校の人達はみんな良い人ばかりだね」

 士門くんは屈託なくそう言うと、私に流し目を送ってきた。夜紅さん一筋ではあるけれど、ドキッとしてしまう。

「私もそう思う。ほのぼのしてるって言うのかな?学校行事もすっごく盛り上がるよ!」
「へえ。それはこれから楽しみだね」

 とりとめのないことを話しながら職員室までテクテク歩いていく。

 士門くんの存在をまだ知らない他のクラスの生徒の中には、露骨に二度見してくる人もいた。

 士門くんはさして気にした様子もなく、私との会話を続けた。見られることには慣れているのだろう。

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