わたしだけの吸血鬼



 七月下旬の日曜日。
 私の誕生日だったこの日は朝から快晴だった。
 眩しい太陽と抜けるような青空の下、私と夜紅さんはベイエリアにあるテーマパークにやってきた。
 
「夜紅さん!見て!ハニーちゃんですよ!」

 入園するとすぐに私達を出迎えてくれたのは、『ハニー』というハムスターのキャラクターだ。
 丸々と太った愛くるしい見た目が年齢問わずの女性を虜にしている。何を隠そう私もその一人だ。

「耳付きカチューシャを買いましょう!夜紅さんの分も!」

私は夜紅さんの手を引きショップに入ると、まずはカチューシャを探し始めた。テーマパークといったらやっぱりこれ。私は嬉々としてショップの中を歩き回った。

 実を言うと遠足の前日のように目が冴えて、よく眠れなかった。

 ハニーちゃんのテーマパークに行きたいとおねだりした時、絶対嫌だと言われると思ったけれど、夜紅さんはすんなり受け入れてくれた。
 ……意外だ。
 
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