わたしだけの吸血鬼

「どうですか?似合います?」
「ああ。似合ってる」

 ハニーちゃんの丸耳のカチューシャをつけて、夜紅さんにお披露目する。
 たとえお世辞でも似合っていると言われて嬉しい。
 夜紅さんにはハニーちゃんの恋人ハニウスの被り物を選んだ。

「どうやってつけるんだ?」
「貸してください」

 後ろのボタンを外して、ポスンと頭から被せる。
 ハニウスの可愛らしさと夜紅さんの美麗な顔立ちにギャップがありすぎて笑えてくる。

「ふふっ!似合わない」
「お前がつけろって言ったんだろう?」
「ウソウソ。超似合ってますって!」

 カチューシャをして、ロングコースターの列に並んで、クレープを頬張っていると、まるでデートをしているみたい。

「ほら」

 差し出された手をおそるおそる繋ぐと心臓が口から出るんじゃないかってくらいドキドキした。
 夜紅さんが吸血鬼だと知っても、この恋心は微塵も変わらない。トクントクンとそばにいるだけで胸が高鳴る。
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