わたしだけの吸血鬼



「わあ!たかーい!」
「流衣は高いところが好きだよな」

 一日中楽しく遊び回ったお出かけの締めくくりはテーマパークのシンボルにもなっている観覧車。

 景色を遮るような建物が他にないせいでテーマパークどころか、海まで一望できる。
 テーマパークに行ったら夜紅さんとどうしても一緒に観覧車に乗りたかった。
 観覧車に乗って頂上で夕陽に願い事を唱えると叶うという噂がある。嘘が本当かわからないけれど、今は藁にも縋りたい気持ちだった。

(どうかこれからも夜紅さんと一緒にいられますように……)

 オレンジ色の夕陽に果たして願いは届いたのだろうか。

「流衣」
「なんですか?」
「誕生日プレゼント」

 細長い箱に入っていたのは綺麗な宝石のついたネックレスだった。見たこともない虹色の宝石は光の角度によって、キラキラと乱反射していた。

「嬉しい……!」

 男性にアクセサリーをプレゼントされるのは特別な気分だ。もらったネックレスをずっと眺めていられる。

 私が喜びを噛み締めていると、夜紅さんの低い声が再び耳を揺らす。

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