わたしだけの吸血鬼
愛しい日常
朝、六時。
セットしておいた時刻通りに今日もスマホのアラームが鳴る。私はのそのそと布団から頭を出し、手探りでアラームをとめた。
「もう朝か……」
二度寝の誘惑に駆られながらも、あくびをかみ殺し、身支度を整えていく。洗面所で顔を洗い、歯を磨き、寝癖を直す。
(うーん。今日も芸術的な寝癖……。八十点かな?)
お父さん譲りの猫っ毛についた寝癖はいつもしつこい。もっと髪を伸ばして結んでしまえば楽かなとも思うけれど、手の掛かる子ほどかわいいとはよく言ったものだ。
肩より少し下くらいのセミロングヘアはまあまあのお気に入り。美容院に行くたびに、このままでいっかと思ってしまう。
「よし、できたっと」
最後に前髪を整え終わると、ギンガムチェックのエプロンを身につけ、冷蔵庫を開けていく。
「あ、昨日のハンバーグまだあるじゃん!」
冷蔵庫の前で朝食とお弁当のメニューを考えるのは、私の毎朝の日課だ。私以上に朝が弱い人が同居人なので、自ずと朝食はいつも私の担当。