わたしだけの吸血鬼

「夜紅さん、お願い!私の血を飲んで!」

 決死の覚悟でそう告げると、夜紅さんは弱々しく首を横に振った。
 消耗しすぎて風を起こして私を遠ざける力も残っていない。

「いいんだ。俺のことは放って……」
「逃げるなんてずるいよ!最後まで責任をとってよ!」

 両親が亡くなったあの時、死にたいほど辛かった。だけど、夜紅さんがいたから乗り越えられた。どこにも行き場がなかった私を受け入れてくれたから、ここにいていいんだって思えた。

「私……これからも夜紅さんと一緒に生きていきたい!」

 一緒にご飯を食べて。
 くだらないことで笑って。
 明日の天気に一喜一憂して。
 眠れない夜は夜紅さんの膝枕で夜を明かしたい。
 そうやって、なんでもない日々を過ごしたい。

 ……でも、夜紅さんがいないと意味がない。

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