わたしだけの吸血鬼
「ね、ねえ、士門くん!?その、頭の中を読み取るやつって夜紅さんも出来たりするの……?」
「出来るんじゃない?本人に確かめたことはないけどね」
私は声にならない悲鳴をあげた。
つまり、一緒に暮らしていた一年間、私の恋心は筒抜けだったということだ。
(ど、どど!どうしよう……!)
一回キスをされたくらいで喜んでいる場合じゃなかった。
どうやって誤魔化そう。いや、ダメだ。誤魔化そうとしていることも知られてしまう!
オロオロと狼狽えていると、中庭に噂の張本人が現れた。私達に近づくとシッシッと手で士門くんを追い払おうとする。
「お前は流衣の半径三メートル以内に近づくな」
「嫉妬深い男は嫌われるよ」
「うるさい」
士門くんは私にバイバイと手を振ると、先に教室へと戻って行った。