わたしだけの吸血鬼
二人揃ってダイニングテーブルにつくと、顔を突き合わせて朝食を食べ始めていく。
夜紅さんはいつも私が作ったご飯を残さず食べてくれる。些細なことだけど嬉しい。口は悪いけれど、こういうところが憎めない。
朝食を食べ終えると、私は自室で制服に着替えた。
ワイシャツ、青縞のリボン、プリーツスカートを手際よく身につける。ランチバッグの中にお弁当を入れたら準備完了!
「おっと!」
……忘れるところだった。
学校に行く前にリビングにある位牌の前で手を合わせる。
「いってきます。お父さん、お母さん」
日課を終え後ろを振り返ると、夜紅さんがチラリと視界に入った。
バタバタと支度をしていた私とは対照的に、夜紅さんはソファで寛いでいた。新聞を読みながら呑気にコーヒーなんか飲んでいる。いいなあ、羨ましい。
「遅刻しないでくださいね、夜紅さん!」
「……お前もな」
「いっけない!こんな時間!いってきます!」
「おう。いってこい」
私の通う高校までは歩いて十分。普段はのんびり歩いていくけれど、遅刻ギリギリの今は走るしかない。