わたしだけの吸血鬼

「いくよー!」
「トス!」
「ブロック!」

 みんなでバレーボールの練習をしている最中も、頭の中は夜紅さんのことでいっぱいだ。
 
(夜紅さん、まさか二度寝なんてしてないよね?)

 球技大会の練習があるせいで、いつもより一時間早く起こしてしまったことがどうしても気掛かりだった。
 夜紅さんは隙あらば寝てしまう体質のようで、家にいる時もふとした瞬間寝てしまっていることが多かった。

「あてっ!」
「流衣ー!ぼーっとしてんな!」

 夜紅さんのことばかり考えていたせいか、トスを頭でキャッチしてしまった。かなり痛い。

「ごめーん!」

 私はボールを拾うと、天井高く投げ上げた。

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