溶けない好きに、注いだ体温 (短)
「かき氷ください、一つ」
付き合って、一年が過ぎた時。
カップもスプーンも、一つだけ。
何度もキスをしてきたからか、
間接キスは気にならなかった。
むしろ、一つのスプーンが「当たり前」。
今の一口、多かったよ――
なんて言いながら。
互いの手を、カップが行ったり来たりした。
「かき氷ください、一つ。
あぁ、お前は?」
付き合いが長くなった時。
彼の買ったかき氷は、彼だけのものだった。
二人の関係は、悪い意味で平和すぎた。
退屈を顔に浮かべる彼は、
だんだん「隣」を見なくなり。
その瞳に写る私の姿は、
ついに「群衆の一人」となった。
そして、現在――