陽生先生のキケンな恋愛指導


* * *


「はあ…………」

「その顔じゃ、彼氏はできなかったみたいだな」


 翌日の屋上。
 特大の溜息を吐いていたら、ふらりと現れた陽生先生がシュボッと煙草に火をつける。


「いや、告白されたんです」

「ほう?」

「OKしたら、ママに会ってくれと言われまして。
しかもデートも母親同伴になるそうで」

「とんだマザコン野郎だな」

「そうなんですよ!!なんですか母親同伴のデートって!!そんなのデートじゃないですよっ!!」

「で、フったのか」

「……付き合ってもお母さんに侵食される未来を感じまして、取り消させてもらいました」


 しかも結局彼の名前、わからずじまいだったな……。だからマザコンくんとしか呼べないよ。


「なんで私って、こうなんでしょうか……」


 ただ純粋に恋がしたいと思ってるのに、言い寄ってくる男子はダメ男ばかり。
 今度こそは!って気合いを入れたのに、結局こんな結末になっちゃって……。


「なんかもう、私って女として魅力ないのかなって凹みます……。こいつなら簡単に付き合えそうって思われてるのかな」

「思われてるんだろうな」

「ひどい!そこは嘘でもそんなことないよって言ってくれるとこじゃないんですか!?」


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