陽生先生のキケンな恋愛指導


「……先生、私はどうすればいいんですか?
どうしたら恋できるんですかっ」


 情けないけど、ちょっと泣いてしまった。

 あまりにも自分が情けなくてバカみたいで。
 先生にズバリ指摘されたのも悔しくて。

 みっともないけどべそをかいていた。


「俺が男教えてやろうか?」

「……えっ」

「俺が恋ってやつ、教えてやってもいいけど?」

「え、それってどういう」

「俺のこと好きになれよ」


 ……What?


「要するに自分から好きになってみるって経験が必要なんじゃねぇか。
だったら試しに俺のこと好きになってみればいい」

「試しに好きになるってなんですか!?」


 そんなお試し感覚で人を好きになれてたら、こんなことになってないと思うんですけど!?


「頭かってえな。俺を好きになったとして、アプローチしてみろってことだよ。
あんたは今まで受け身で自分から頑張るってことをしなかったんだ。だったら自分から積極的になってみろってことだよ」


 な、なるほど……?
 わかったような、わからないような。

 でも、何となく先生の言いたいことはわかる。
 確かに私は自分から好きになって、恋を叶える努力をしてこなかった。

 それこそフラれて傷つくのが怖かったから。


< 21 / 45 >

この作品をシェア

pagetop