陽生先生のキケンな恋愛指導
「おーい手ぇ止まってんぞー」
「やってますよ!なんですか、この資料の量」
「一応授業で使う資料」
よく見ると、資料にはびっしり英文が書かれている。
うわー、なんか見てるだけで頭痛くなってくるな。
細かくてたくさんあってよくわからない。
これ、授業で使うと思うとげんなりするな……。
「それ、シャーロック・ホームズの小説の一部なんだよ」
「えっそうなんですか」
「今度授業で使おうと思って」
授業でシャーロック・ホームズを?
なんだかちょっと面白そう。
「こっちはハリーポッター」
「マジで!?」
「気になるだろ?」
ニヤッと笑った顔があまりにも良すぎて驚いた。
「……なんで授業で小説使うんですか?」
「俺が英語に興味持ったのが、英書を読みたかったから。知ってるもの使った方が入りやすいだろ。
特にあんたみたいな英語苦手な奴は。なぁ、39点」
「なんで私の英語の点数知ってるんですか!?」
「そりゃあ、一通り見たからな」
私は英語が苦手だ。
単語が覚えられないし、助詞とか助動詞とかよくわからない。
そもそも日本語だってそんなに得意じゃないのに、外国語なんてわかるわけない。
「英語話せたら楽しいぞ」
「えっ」
「友達増えるし、何となしに聞いてた洋楽もわかるようになる」
「……だから英語の先生になったんですか?」
「いや別に?」