陽生先生のキケンな恋愛指導



 その勉強はどの意味なのか、ニヤッとした不敵な笑みからは読み取れない。


 ……これは先生からの恋愛指導で、「俺を惚れさせるようなこと言ってみろ」っていう先生からの挑戦状みたいなものなんだ。

 私は別に先生のこと本当に好きじゃないし、先生もそんなこと思ってない。

 わかってるけど、あんな風に言われたらさぁ……ドキッとしちゃうじゃん――。

 他の男の名前出されなくないとか、何それヤキモチ?って期待しちゃうじゃん……!


「うおーーーー!!資料片付けます!!」

「ん?おう、急にやる気出したな」


 余計な雑念よ、どこかに行ってくれ!!

 私は恋がしたいと思ってたけど、この人に恋はしたくない……!!
 だって絶対無理ってわかってるから!!

 今度こそちゃんと好きな人を作って、好きな人と恋愛がしたいって思ったから――そのために先生は恋愛指導してくれている。

 先生は本気になってはいけない相手だ。

 それなのに、ドキドキが止まらない――。

 そもそも本気になるなって言うくせに、期待させるようなこと言わないで欲しい……!!


「……あ、これがワルい男なのか」

「なんか言ったか?」

「なんでもありませんよっ!」


 内心で先生に向かってあかんべをした。

 私は絶対好きにならない。
 本気になんて、絶対ならない!!


…………多分。




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