陽生先生のキケンな恋愛指導


 不意に漂ってきた煙草の匂い。
 普段は煙草なんて臭くて嫌いなのに、何故かその時は不快感を感じなかった。

 煙草を持つ長い指にはシルバーリングがいくつも嵌めていて、耳にはギラギラしたピアスが何個も空けられている。

 一言で言ってしまえば、チャラい。
 ちょっと怖いという印象も与える。

 でも、今の私にとってはヒーローだった。


「ヤりたいだけの欲望野郎なんか、まともに相手にするだけ無駄だ。気にしなくていいよ」

「……っ!」

「こんな奴にあんたはもったいないね」


 …………えっ、待って。

 ヤバいこの人……めちゃめちゃイケメンじゃない!?

 改めて顔を見たら、芸能人だと言われても信じるレベルの超絶イケメンだ。
 てゆーかほんとにこんな感じの芸能人、いた気がする。

 背が高くて、鼻筋通ってて目元はキリッと凛々しくて――同年代の男子にはない、大人の男の色気を纏ってる。
 煙草ですら色気を醸してるように感じる。

 しかも、こんな風に私のこと庇ってくれるなんて……


「……これが運命?」


 この人が運命の人だったのかな?

 私の男運が今までなかったのは、この人に出会うためだったのでは!?


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