格好のつかない黒羽くんは今日もにぶい。
顔をそらそうとして,私はその動きが止まるのを僅かに捉えた。
一瞬にして表情がころころと変わっていく。
「……?」
動かない月くんに,泣いていた雪乃さんは顔をあげる。
多分,ハンカチは月くんのポケットに無かった。
取りに席へも戻らないところをみると,この場にすらない。
と,月くんは何かを思い出したようにして今度はブレザーのポッケに指先を向かわせる。
「! ……ごめん,ちょっと固いかもしれないけど」
完璧ではない渡しものに,申し訳無さを乗せてしまうから。
ポケットティッシュなんて自分でも持っていて,"ハンカチを人に貰うから"意味のある行為だと思っているであろう雪乃さんも,その空気によって更に戸惑った様子を見せた。
かっこよかったのに,格好がつかない月くんは。
だけどやっぱり,優しかった。
一瞬にして表情がころころと変わっていく。
「……?」
動かない月くんに,泣いていた雪乃さんは顔をあげる。
多分,ハンカチは月くんのポケットに無かった。
取りに席へも戻らないところをみると,この場にすらない。
と,月くんは何かを思い出したようにして今度はブレザーのポッケに指先を向かわせる。
「! ……ごめん,ちょっと固いかもしれないけど」
完璧ではない渡しものに,申し訳無さを乗せてしまうから。
ポケットティッシュなんて自分でも持っていて,"ハンカチを人に貰うから"意味のある行為だと思っているであろう雪乃さんも,その空気によって更に戸惑った様子を見せた。
かっこよかったのに,格好がつかない月くんは。
だけどやっぱり,優しかった。