炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
いつか会えたなら
*リアム*
リアムは朝の日課の鍛錬と白狼の散歩を終えると、執務室のドアを開けた。
自分の机の上には書類の山が一晩で築かれていた。自然と重いため息が零れる。一番上にある用紙を手に取ってから椅子に座った。
「カルディア国、東の国境に増兵の兆し。その数、千。……微妙な数だな」
威嚇や牽制にしては多く、我が国に攻め入るにしては少なすぎる。あとでイライジャに詳細を聞こうと、後まわしにする。
次の案件を見ようと、目線よりも高く積み上げられている書類の山に手を伸ばす。
――法の改定案について。ジーン・アルベルト。
思わず目頭を押さえた。これについても本人に確認してからだと保留にする。さらに数枚書類を手元に持ってくる。
――フルラ国への輸出入の増量許可書。国内で起こった犯罪者についての事案。火傷の古傷がある碧い瞳の男についての目撃情報……。
書類に目を通していると、ドアをノックする音がした。部屋に入ってきたのはジーンだ。案件が書かれた用紙を書類の山に戻すと席を立った。
「ジーン、外へ出かける」
「出かけるって、これから? どこへ?」
「まずはカルディアだな。不穏な動きがあるんだろ。イライジャと一緒に見てくる」
「今から国境へ向かう? 何日かかると思っているんですか!」
「ならば、国境へは白狼を使わす。精霊獣なら半日かからずに往復できる」
ジーンは渋い顔になった。
「白狼ちゃんから離れて、また体調悪くなっても知りませんからね……」
「……気をつける」
リアムは部屋を出て行こうとした。
「え。陛下、カルディア以外にどこへ行くつもりですか? この書類の山はどうするのです?」
「帝都からは出ないですぐに戻る。帰ったらちゃんとやるよ」
上着を脱ぐと、フードのついた厚手のコートを手に取り、羽織った。
リアムは朝の日課の鍛錬と白狼の散歩を終えると、執務室のドアを開けた。
自分の机の上には書類の山が一晩で築かれていた。自然と重いため息が零れる。一番上にある用紙を手に取ってから椅子に座った。
「カルディア国、東の国境に増兵の兆し。その数、千。……微妙な数だな」
威嚇や牽制にしては多く、我が国に攻め入るにしては少なすぎる。あとでイライジャに詳細を聞こうと、後まわしにする。
次の案件を見ようと、目線よりも高く積み上げられている書類の山に手を伸ばす。
――法の改定案について。ジーン・アルベルト。
思わず目頭を押さえた。これについても本人に確認してからだと保留にする。さらに数枚書類を手元に持ってくる。
――フルラ国への輸出入の増量許可書。国内で起こった犯罪者についての事案。火傷の古傷がある碧い瞳の男についての目撃情報……。
書類に目を通していると、ドアをノックする音がした。部屋に入ってきたのはジーンだ。案件が書かれた用紙を書類の山に戻すと席を立った。
「ジーン、外へ出かける」
「出かけるって、これから? どこへ?」
「まずはカルディアだな。不穏な動きがあるんだろ。イライジャと一緒に見てくる」
「今から国境へ向かう? 何日かかると思っているんですか!」
「ならば、国境へは白狼を使わす。精霊獣なら半日かからずに往復できる」
ジーンは渋い顔になった。
「白狼ちゃんから離れて、また体調悪くなっても知りませんからね……」
「……気をつける」
リアムは部屋を出て行こうとした。
「え。陛下、カルディア以外にどこへ行くつもりですか? この書類の山はどうするのです?」
「帝都からは出ないですぐに戻る。帰ったらちゃんとやるよ」
上着を脱ぐと、フードのついた厚手のコートを手に取り、羽織った。