炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
「クレアさまはエレノア女公爵さまと従姉妹ですよね。ミーシャさまとは最従姉妹になります。似ている部分と似ていない部分があっても、普通じゃないですか?」
「そういうものか」
ジーンは「そういうものです」と言ってから続けた。
「残念ながら、私と陛下のクレアさまの記憶は、十六年前のままで止まっているでしょう?……彼女に師匠の面影を追うのは少々酷かと」
ジーンは壁に向きを変えると手を上げて合図した。頷きを返した衛兵が黙って門扉を開けはじめる。鉄がこすれる甲高い音があたりに響く。
「陛下は今のままどうぞ、ミーシャさま自身を見て差しあげてください」
ドアが開くとまず白狼が門を潜った。次にリアム、最後にジーンが分厚い城壁を抜けた。
――ミーシャ自身、か。
ジーンの言うとおり、彼女はクレア師匠に似ているようでどこか違う。
一緒にいるほどに、ミーシャのことをもっと知りたいと思った。時間が許す限り、色んな一面を見ていたいと。
だが、胸の奥で沸き立つこの感情は、今の自分が抱いていい物ではない。彼女が師匠に似ているからこそ、なおさら認めるわけにはいかなかった。
――周りにこれ以上期待をさせないためにも、彼女とは少し距離を取るべきだな。
問題は山積しているのに浮かれていたと、リアムは彼女への接し方に反省した。
「……悠長にしゃべりすぎた。この国を守るためにも、不安要素はすべて排除する」
「仰せのままに」
リアムとジーン、そして白狼は、静かに降り積もる白い雪の中へ足を進めた。
「そういうものか」
ジーンは「そういうものです」と言ってから続けた。
「残念ながら、私と陛下のクレアさまの記憶は、十六年前のままで止まっているでしょう?……彼女に師匠の面影を追うのは少々酷かと」
ジーンは壁に向きを変えると手を上げて合図した。頷きを返した衛兵が黙って門扉を開けはじめる。鉄がこすれる甲高い音があたりに響く。
「陛下は今のままどうぞ、ミーシャさま自身を見て差しあげてください」
ドアが開くとまず白狼が門を潜った。次にリアム、最後にジーンが分厚い城壁を抜けた。
――ミーシャ自身、か。
ジーンの言うとおり、彼女はクレア師匠に似ているようでどこか違う。
一緒にいるほどに、ミーシャのことをもっと知りたいと思った。時間が許す限り、色んな一面を見ていたいと。
だが、胸の奥で沸き立つこの感情は、今の自分が抱いていい物ではない。彼女が師匠に似ているからこそ、なおさら認めるわけにはいかなかった。
――周りにこれ以上期待をさせないためにも、彼女とは少し距離を取るべきだな。
問題は山積しているのに浮かれていたと、リアムは彼女への接し方に反省した。
「……悠長にしゃべりすぎた。この国を守るためにも、不安要素はすべて排除する」
「仰せのままに」
リアムとジーン、そして白狼は、静かに降り積もる白い雪の中へ足を進めた。