炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
リアムは夫人を見つめたまま、彼女に悟られないように奥歯を噛みしめた。
「先生は、なにも悪くありません」
夫人は一度目を泳がせたあと「陛下はご存じですか?」と話しはじめた。
「数ヶ月ほど前になりますが、陛下が禁止した本がまた量産され、国内外で流行しました」
「俺ばかり英雄視された間違った本だろ、もちろん知っている」
ミーシャも読んだと言っていた。
『悪いのは魔女だ。惑わされずにクレアを討て!』
あのときオリバーが吐いた『クレアは悪い魔女』が広く伝わり、一人歩きしていく。いくら当事者であるリアムが違うと否定しても止まってくれない。
「フルラ国へ向かった商人についても、ご存じですか?」
「知っている。腕に、ひどい火傷の傷がある碧い目をした男のことだろ。クレア師匠の命日の前に、イライジャから報告があった」
「イライジャのやつ、当時、僕にはその報告をしてこなかったんだ」
ジーンは「知っていたら陛下を一人にしなかった」と腕を組み、眉根を寄せた。
「碧い瞳の男と聞いて、師匠の石碑前にオリバーが現われるかもしれないと期待したが、刺客が二人襲ってきただけだった。それと……、」
ガーネット女公爵令嬢のミーシャが、炎の鳥を連れて突然現れた。
「それと?」
「いや、なんでもない。イライジャは近くで待機してくれていたし、敵は自分で対処できた。問題ない」
「問題大ありですよ。動けなくなっていたじゃないですか……」
ジーンは渋い顔で、ため息をついた。
「先生は、なにも悪くありません」
夫人は一度目を泳がせたあと「陛下はご存じですか?」と話しはじめた。
「数ヶ月ほど前になりますが、陛下が禁止した本がまた量産され、国内外で流行しました」
「俺ばかり英雄視された間違った本だろ、もちろん知っている」
ミーシャも読んだと言っていた。
『悪いのは魔女だ。惑わされずにクレアを討て!』
あのときオリバーが吐いた『クレアは悪い魔女』が広く伝わり、一人歩きしていく。いくら当事者であるリアムが違うと否定しても止まってくれない。
「フルラ国へ向かった商人についても、ご存じですか?」
「知っている。腕に、ひどい火傷の傷がある碧い目をした男のことだろ。クレア師匠の命日の前に、イライジャから報告があった」
「イライジャのやつ、当時、僕にはその報告をしてこなかったんだ」
ジーンは「知っていたら陛下を一人にしなかった」と腕を組み、眉根を寄せた。
「碧い瞳の男と聞いて、師匠の石碑前にオリバーが現われるかもしれないと期待したが、刺客が二人襲ってきただけだった。それと……、」
ガーネット女公爵令嬢のミーシャが、炎の鳥を連れて突然現れた。
「それと?」
「いや、なんでもない。イライジャは近くで待機してくれていたし、敵は自分で対処できた。問題ない」
「問題大ありですよ。動けなくなっていたじゃないですか……」
ジーンは渋い顔で、ため息をついた。