炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
「大公殿下は、なんて恐ろしい物を……これを送ってきた意味はなんなのでしょう」
「どうしてこれを送ってきたのかはわからないが、夫人。心配はいらない。俺がなんとかします」
息子のジーンのように白い顔で夫人は怯えていた。リアムは彼女を安心させてあげようとほほえみかけた。
「陛下、なんとかするって、どうやってです? 流氷の結界は本来、索敵が目的ではないんですよね」
ジーンの質問にリアムは頷いた。
「悪意を持って攻め入られたときに初めて発動する、守りの結界だ。流氷の結界以外の方法を使ってでも、あいつはこの俺が止める」
リアムは布で包まれているサファイアの原石を、ぎゅっと握った。
ずっと消息不明だった男はつい最近生きているとわかった。しかも自由に動き回り、なにかを企てている。
――生きて、好きかってしている。師匠は死んでしまったというのに。
心臓が、どくどくと激しく拍動して痛い。リアムは胸を握るように押さえた。
怒りで、目の前が赤かった。内に灯った青い炎は飛び火し、またたく間に燃え広がっていく。煽るようにそそがれている燃料は、憎しみと哀しみだ。
どうしても、オリバーのことが許せなかった。
『……力は抑えようとせずに、外へ。自分のためではなく、人のために使うといいですよ』
――師匠、わかっている。この力は自分のためではなく、大事な人たちのために使う。オリバーはこの手で必ず、息の根を止める。たとえ、差し違えても。
「陛下……大丈夫ですか? 顔色が悪いようですが……」
深く呼吸することで、感情を抑えこんだ。すっと姿勢を正す。
「大丈夫。夫人、そろそろ俺たちは宮殿に戻ります」
アルベルト夫人に伝えると、席を立った。
「どうしてこれを送ってきたのかはわからないが、夫人。心配はいらない。俺がなんとかします」
息子のジーンのように白い顔で夫人は怯えていた。リアムは彼女を安心させてあげようとほほえみかけた。
「陛下、なんとかするって、どうやってです? 流氷の結界は本来、索敵が目的ではないんですよね」
ジーンの質問にリアムは頷いた。
「悪意を持って攻め入られたときに初めて発動する、守りの結界だ。流氷の結界以外の方法を使ってでも、あいつはこの俺が止める」
リアムは布で包まれているサファイアの原石を、ぎゅっと握った。
ずっと消息不明だった男はつい最近生きているとわかった。しかも自由に動き回り、なにかを企てている。
――生きて、好きかってしている。師匠は死んでしまったというのに。
心臓が、どくどくと激しく拍動して痛い。リアムは胸を握るように押さえた。
怒りで、目の前が赤かった。内に灯った青い炎は飛び火し、またたく間に燃え広がっていく。煽るようにそそがれている燃料は、憎しみと哀しみだ。
どうしても、オリバーのことが許せなかった。
『……力は抑えようとせずに、外へ。自分のためではなく、人のために使うといいですよ』
――師匠、わかっている。この力は自分のためではなく、大事な人たちのために使う。オリバーはこの手で必ず、息の根を止める。たとえ、差し違えても。
「陛下……大丈夫ですか? 顔色が悪いようですが……」
深く呼吸することで、感情を抑えこんだ。すっと姿勢を正す。
「大丈夫。夫人、そろそろ俺たちは宮殿に戻ります」
アルベルト夫人に伝えると、席を立った。