炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
 リアムは目を見開き、言葉を失った。
 治療のためとはいえ、尊い王の身体に無遠慮に触れている。あとで不敬だと罰せられるだろうかと不安に思っていると、リアムが息を吐くように呟いた。

「……寒くて、眠い」
「それは、よろしくないですね。この状態が、いつもなんですか?」
 
 訊き返すと、リアムは目を細めた。

「ところで令嬢は、病弱で引きこもりと聞いていたが、ずいぶんと、ようすが違うようだ」 

 真意を探るように、まっすぐな目で見つめられた。

「話を逸らさないでください! 私が先に質問しているんです。この状態がいつもなら、私生活でも支障があるのではないですか?」
「突発的に魔力を使わなければ、私生活に支障はないよ」

 ミーシャは険しい顔をリアムに向けた。

 少し魔力を使っただけで容体が悪くなるということは、身体へのダメージが蓄積しているということ。

 ――どうしてここまで酷いのか根本原因が気になるけれど、解明と対応はあとね。

 今は応急処置に専念しようと思った。

「なにか、暖まる物を探してきます」と伝え傍を離れようとしたら、彼に右手をつかまれた。
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