炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
「味方? どうして? きみはフルラの魔女だろう。数年前まで両国は戦争をしていた。なのになぜ」
「みんなが魔女を恐れ、悪いと言います。その中で陛下は毎年クレアの墓参りをしてくれる。魔女なのに大事にしてくれた。私があなたの味方になる理由は十分です」
彼の碧い瞳が心なしか揺れた。
「陛下。他言はいたしません。だからどうか、凍化病の原因を教えてください」
ミーシャとして直接会うのは今日が初めてだが、婚約を打診している相手の願いは無下にはできないはずだと思った。
しばらくミーシャを見つめていたリアムは、観念したようすで肩の力を抜いた。
「わかった。きみは、クレア師匠の親族だ。信じよう」
リアムは手をひらいて見せた。なにも持っていなかったのに、瞬時にさらさらの雪が発生した。
「令嬢の言うとおり俺は冷への耐性がある。魔力も王家の中でも歴代一と言われるほど桁違いの量を持って生まれた。力は無限にあると言える。だがらこそ俺は、国を守るために、常に大量の魔力を使っている」
「もしかして、冷の耐性を越える量の魔力を、常時使っているということですか? 身体が蝕まれ、凍化病という形で影響が出るほどに」
リアムは黙ったまま頷いた。彼の手のひらでは雪が溶け、水になったかと思うとすぐに蒸発して消えた。
「陛下ほどのかたが、そんなにたくさん、なにに魔力を使っ……、」
ミーシャの脳裏に、昼間見た絵本が浮かんだ。
「原因は……魔女を拒む、氷の結界ですか?」
――氷の皇帝は、侵入者を凍り漬けにする『流氷の結界』で国を守っている。川を流れる氷は青白く輝き、炎の魔女は近づくことができない。
「魔女を拒む? 令嬢は、あの嘘ばかり書かれた絵本を読んだのか?」
リアムの顔が険しくなった。
「……はい。昼間、新作だという絵本を見かけました」
「魔女に対して悪意がある本だ。流氷の結界は、いつ、いかなる者でも我が国を侵略することは許さないという意思表示。魔女を限定して拒んでいるわけではない。誤りのある絵本は許せない」
気温が一気にさがったことで、彼が怒っていると察した。
「みんなが魔女を恐れ、悪いと言います。その中で陛下は毎年クレアの墓参りをしてくれる。魔女なのに大事にしてくれた。私があなたの味方になる理由は十分です」
彼の碧い瞳が心なしか揺れた。
「陛下。他言はいたしません。だからどうか、凍化病の原因を教えてください」
ミーシャとして直接会うのは今日が初めてだが、婚約を打診している相手の願いは無下にはできないはずだと思った。
しばらくミーシャを見つめていたリアムは、観念したようすで肩の力を抜いた。
「わかった。きみは、クレア師匠の親族だ。信じよう」
リアムは手をひらいて見せた。なにも持っていなかったのに、瞬時にさらさらの雪が発生した。
「令嬢の言うとおり俺は冷への耐性がある。魔力も王家の中でも歴代一と言われるほど桁違いの量を持って生まれた。力は無限にあると言える。だがらこそ俺は、国を守るために、常に大量の魔力を使っている」
「もしかして、冷の耐性を越える量の魔力を、常時使っているということですか? 身体が蝕まれ、凍化病という形で影響が出るほどに」
リアムは黙ったまま頷いた。彼の手のひらでは雪が溶け、水になったかと思うとすぐに蒸発して消えた。
「陛下ほどのかたが、そんなにたくさん、なにに魔力を使っ……、」
ミーシャの脳裏に、昼間見た絵本が浮かんだ。
「原因は……魔女を拒む、氷の結界ですか?」
――氷の皇帝は、侵入者を凍り漬けにする『流氷の結界』で国を守っている。川を流れる氷は青白く輝き、炎の魔女は近づくことができない。
「魔女を拒む? 令嬢は、あの嘘ばかり書かれた絵本を読んだのか?」
リアムの顔が険しくなった。
「……はい。昼間、新作だという絵本を見かけました」
「魔女に対して悪意がある本だ。流氷の結界は、いつ、いかなる者でも我が国を侵略することは許さないという意思表示。魔女を限定して拒んでいるわけではない。誤りのある絵本は許せない」
気温が一気にさがったことで、彼が怒っていると察した。