炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
「それでは、ミーシャさまの評判が悪くなるだけです!」 
「私の評判が悪いのは今さらです。それで人が助かるなら、私はなんと思われようと、かまいません!」

 この国ではオリバー大公殿下は英雄だ。魔女クレアの企みにいち早く気づき、フルラを攻めて戦死したと思っている。その人が生きていて、今度は氷の宮殿を崩壊させようとしていると説明したところで、誰も信じない。

「悪い魔女が、役に立つときが来たわ」

 ミーシャはほほえむと、炎の鳥の背にふたたび乗った。

「時間がありません。さっそく行動に移して。私は結界の上空を飛び回ったあと、氷の宮殿に向かいます。みなさんは『恐ろしい魔女だった』と、たくさんの人に誇張して伝えてくださいね!」

 この国で、リアムの妃として生きていくと決めた。
 寵姫であるミーシャの言動は、彼の評価に影響する。この行動は『悪い魔女』として彼の評判を堕とすだろう。ミーシャはますます、グレシャー帝国民に嫌われる。

 だけど、人々が目の前で死ぬよりはいい。

 ――ナタリーさまの言うとおり、足枷になってみよう。きっと、リアムもわかってくれる。

 覚悟を決めれば簡単で、怖い物はなにもなかった。
 誰になにを言われようと、彼と共に生きていくことに変わりはない。人々がどうしても魔女を拒否するというのなら、その時あらためてリアムと話し合おう。
 
 ミーシャは決意を胸に、白い空に向かって飛び立った。



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