炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
刺された場所が焼けるように痛い。たまらず叫び声をあげてしまった。
痛みは左肩に近い場所。臓器にはおそらく届いていない。それでも出血が酷いのがわかった。手足が急速に冷えて感覚を失っていく。力が入らない。
リアムはオリバーから手を離すと、立っていられずに膝から崩れ落ちていくミーシャを抱きとめた。
「ミーシャ。なんで……!」
あなたの傍に、舞い戻る約束だったから。
青空を閉じこめたような碧い瞳が揺れている。
彼がこれほどまで動揺している姿は、#クレアとして死んだ、あのとき以来__・__#だ。
彼の叫喚を聞いて、鎮めなければと思ったミーシャは無理やり、笑顔を作った。
「私は、大丈夫」
リアムはナイフを握ると確かめるように力を入れたが、すぐに手を離した。深く刺さっているらしい。抜いたら今以上に血を失う。
オリバーはしばらく前屈みになって咽せていたが、おもむろに地面に手を伸ばすのを、視界の端でとらえた。
ミーシャはその理由がわかっていた。先ほどリアムを庇ったときに、手に持っていた魔鉱石を手放してしまったからだ。
――魔鉱石が、奪われる。
今度は、未完成の魔鉱石ではない。クレアの魔鉱石だ。
「おねえさん! 大丈夫、うわあッ!」
オリバーは駆け寄ってきたノアを抱きとめた。そのまま片手で氷の壁に魔鉱石を押しつける。
「リアム。大事な甥っ子が、かわいければ動くなよ」
リアムが奥歯を噛みしめるのがわかった。ミーシャは力を振り絞って、顔をオリバーに向けた。
「私が、庇うとわかって……煽った、でしょう?」
「そのくらいのハンデは許せ。炎の魔女クレアと氷の皇帝リアム。最強の二人を同時に相手する身にもなってくれ」
触れているリアムの身体に力が入るのがわかり、ミーシャは感覚がない手で、自分を支えてくれている彼の左腕に触れた。
「オリバー大公殿下。あなたの目的は、この地下の、氷をすべて溶かすこと」
「イライジャに、聞いたか」
痛みは左肩に近い場所。臓器にはおそらく届いていない。それでも出血が酷いのがわかった。手足が急速に冷えて感覚を失っていく。力が入らない。
リアムはオリバーから手を離すと、立っていられずに膝から崩れ落ちていくミーシャを抱きとめた。
「ミーシャ。なんで……!」
あなたの傍に、舞い戻る約束だったから。
青空を閉じこめたような碧い瞳が揺れている。
彼がこれほどまで動揺している姿は、#クレアとして死んだ、あのとき以来__・__#だ。
彼の叫喚を聞いて、鎮めなければと思ったミーシャは無理やり、笑顔を作った。
「私は、大丈夫」
リアムはナイフを握ると確かめるように力を入れたが、すぐに手を離した。深く刺さっているらしい。抜いたら今以上に血を失う。
オリバーはしばらく前屈みになって咽せていたが、おもむろに地面に手を伸ばすのを、視界の端でとらえた。
ミーシャはその理由がわかっていた。先ほどリアムを庇ったときに、手に持っていた魔鉱石を手放してしまったからだ。
――魔鉱石が、奪われる。
今度は、未完成の魔鉱石ではない。クレアの魔鉱石だ。
「おねえさん! 大丈夫、うわあッ!」
オリバーは駆け寄ってきたノアを抱きとめた。そのまま片手で氷の壁に魔鉱石を押しつける。
「リアム。大事な甥っ子が、かわいければ動くなよ」
リアムが奥歯を噛みしめるのがわかった。ミーシャは力を振り絞って、顔をオリバーに向けた。
「私が、庇うとわかって……煽った、でしょう?」
「そのくらいのハンデは許せ。炎の魔女クレアと氷の皇帝リアム。最強の二人を同時に相手する身にもなってくれ」
触れているリアムの身体に力が入るのがわかり、ミーシャは感覚がない手で、自分を支えてくれている彼の左腕に触れた。
「オリバー大公殿下。あなたの目的は、この地下の、氷をすべて溶かすこと」
「イライジャに、聞いたか」