炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
氷の中で眠る人
*リアム*
リアムは、ミーシャの口元に耳を近づけた。
「呼吸がない」
次に指で頸部に触れ、しばらくそのまま脈を確認する。何度も角度を変えて確かめたあと、リアムはゆっくりと指を離した。
目の前が、透明な膜で覆われて揺れ動く。震える手で冷たくなった彼女を強く抱きしめた。
「……ミーシャ」
『リアム、大好き。愛してる』
もう一度、その声で聞かせて欲しい。
彼女の閉じられた目の端には、まだ乾いてない涙が残っている。目を開けて欲しい。リアムは願うようにそっと、唇を押しつけた。
『リアム殿下。クレア・ガーネットと申します』
師匠は、ガーネットのように情熱と慈愛を内に秘めた、美しい人だった。
『お初にお目にかかります。ミーシャ・ガーネットと申します』
炎の鳥を連れて、森から現れた朱鷺色の髪のきみは、妖精のように愛らしかった。
困っている人や哀しむ人がいると、手を差し出さずにはいられない人で、自分よりも、人が笑顔になることを望むような人だった。
その心に、人柄に惚れた。
俺の初恋はきみで、二度目の恋も、朝焼けのような紫の瞳をしたきみだった。
『リアムには、誰よりも幸せになって欲しい』
そう願ってくれた大切な人を二度も、失ってしまった。
スノードームを嬉しそうに見つめ、お帰りなさいと笑顔で出迎えてくれた人はもう、動かない。
雪の結晶のように、一時の幸せは儚くて。あっという間にこの手から、こぼれ落ちていった。
あたりがさっきより温かく、宮殿のあちこちからパキパキと嫌な音が聞こえてくる。
リアムは、オリバーが消えた先を眺め続けた。手と足が動かない。彼女を失い、虚ろになった身体は、自分の物ではないみたいだった。
リアムは、ミーシャの口元に耳を近づけた。
「呼吸がない」
次に指で頸部に触れ、しばらくそのまま脈を確認する。何度も角度を変えて確かめたあと、リアムはゆっくりと指を離した。
目の前が、透明な膜で覆われて揺れ動く。震える手で冷たくなった彼女を強く抱きしめた。
「……ミーシャ」
『リアム、大好き。愛してる』
もう一度、その声で聞かせて欲しい。
彼女の閉じられた目の端には、まだ乾いてない涙が残っている。目を開けて欲しい。リアムは願うようにそっと、唇を押しつけた。
『リアム殿下。クレア・ガーネットと申します』
師匠は、ガーネットのように情熱と慈愛を内に秘めた、美しい人だった。
『お初にお目にかかります。ミーシャ・ガーネットと申します』
炎の鳥を連れて、森から現れた朱鷺色の髪のきみは、妖精のように愛らしかった。
困っている人や哀しむ人がいると、手を差し出さずにはいられない人で、自分よりも、人が笑顔になることを望むような人だった。
その心に、人柄に惚れた。
俺の初恋はきみで、二度目の恋も、朝焼けのような紫の瞳をしたきみだった。
『リアムには、誰よりも幸せになって欲しい』
そう願ってくれた大切な人を二度も、失ってしまった。
スノードームを嬉しそうに見つめ、お帰りなさいと笑顔で出迎えてくれた人はもう、動かない。
雪の結晶のように、一時の幸せは儚くて。あっという間にこの手から、こぼれ落ちていった。
あたりがさっきより温かく、宮殿のあちこちからパキパキと嫌な音が聞こえてくる。
リアムは、オリバーが消えた先を眺め続けた。手と足が動かない。彼女を失い、虚ろになった身体は、自分の物ではないみたいだった。