炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
陛下とミーシャさまはこのドアの先にいる、オリバー大公殿下にお会いするおつもりですよね?」
イライジャの問いにミーシャは頷いた。
重体だったオリバーは数日前、意識を取り戻した。今も起きあがれず、動けない状態だ。元の宮殿の牢は半壊して使えないため、リアムが新しい宮殿の半地下に部屋を造り、オリバーを幽閉した。
ミーシャはやっと彼と会う覚悟ができて、今日ここに来た。
「オリバー大公殿下が、部屋のバルコニーに現れ、ミーシャさまを襲いましたよね。手引きをしたのはこの私です」
いきなりの告白にその場の空気が凍った。
ミーシャとして、初めてオリバーに会ったあの夜のことを思い出し、背筋がぞっとした。しかし、それを悟られないようにすっと姿勢を正した。
「陛下から伺っております。やむを得ない事情だったと。なので、謝罪は結構ですよ」
柔らかい声を心がけたが、イライジャは下を向いたまま顔をあげなかった。
「その前にも私は、ミーシャさまに酷いことを申しあげました」
――あなたは陛下の傍にいるべきじゃない。クレア師匠を思い出させ過去に縛る。治療を済ませ、早く帰って欲しい。
「私は、ミーシャさまの覚悟を見誤っておりました。傷つけるような大変失礼な発言をしたことをお許しください。申し訳ございませんでした。私はあのときと真逆のことをこれから申しあげます」
イライジャはそこで言葉を切ると、隣にいるリアムを一度見た。そしてふたたび真剣な面差しをミーシャに向けた。
「お願いいたします、ミーシャさま。あなたこそ陛下の妃にふさわしい。これからも傍で、陛下を支えてください」
リアムを想う、まっすぐな言葉と瞳だった。ミーシャはそっと彼に近寄った。
「イライジャさま。実は私、会ったらお聞きしたいことがありました。私が、単独で結界を見に行った日のことです。民の避難誘導の時なぜ私を『悪い魔女』と、言わなかったんですか?」
イライジャの問いにミーシャは頷いた。
重体だったオリバーは数日前、意識を取り戻した。今も起きあがれず、動けない状態だ。元の宮殿の牢は半壊して使えないため、リアムが新しい宮殿の半地下に部屋を造り、オリバーを幽閉した。
ミーシャはやっと彼と会う覚悟ができて、今日ここに来た。
「オリバー大公殿下が、部屋のバルコニーに現れ、ミーシャさまを襲いましたよね。手引きをしたのはこの私です」
いきなりの告白にその場の空気が凍った。
ミーシャとして、初めてオリバーに会ったあの夜のことを思い出し、背筋がぞっとした。しかし、それを悟られないようにすっと姿勢を正した。
「陛下から伺っております。やむを得ない事情だったと。なので、謝罪は結構ですよ」
柔らかい声を心がけたが、イライジャは下を向いたまま顔をあげなかった。
「その前にも私は、ミーシャさまに酷いことを申しあげました」
――あなたは陛下の傍にいるべきじゃない。クレア師匠を思い出させ過去に縛る。治療を済ませ、早く帰って欲しい。
「私は、ミーシャさまの覚悟を見誤っておりました。傷つけるような大変失礼な発言をしたことをお許しください。申し訳ございませんでした。私はあのときと真逆のことをこれから申しあげます」
イライジャはそこで言葉を切ると、隣にいるリアムを一度見た。そしてふたたび真剣な面差しをミーシャに向けた。
「お願いいたします、ミーシャさま。あなたこそ陛下の妃にふさわしい。これからも傍で、陛下を支えてください」
リアムを想う、まっすぐな言葉と瞳だった。ミーシャはそっと彼に近寄った。
「イライジャさま。実は私、会ったらお聞きしたいことがありました。私が、単独で結界を見に行った日のことです。民の避難誘導の時なぜ私を『悪い魔女』と、言わなかったんですか?」