炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
刺すような目でミーシャを見つめたいたオリバーは、ゆっくりと口を開いた。
「人々を導き、支える道か。民を犠牲にしようとした俺に、民のために尽くせというのか?」
「大切な人を復活できるかもしれないと言われなければ、あなたは民を犠牲にしようとは思わなかった、違いますか?」
「……どうだろうな」
オリバーは自分の胸にある指輪を握って、目を伏せた。
「もし、あのまま復活できていたとしても、ルシアさまはきっと、喜ばれなかったと思います」
下を向いていたままのオリバーにミーシャは一歩近づいた。
「私だったら、愛する大切な人の手を汚してまで、復活したいとは思いません。幸せな未来は待っていませんから……」
もしもリアムが、民の命と引き換えに自分を蘇らせていたら、哀しくて生きていくのが辛くなっていた。
自分のために、誰かの命を秤にかけ、蹴落としたところで本当の幸せは訪れない。人の命はそんなに軽くない。
「では魔女は、なんで二度も生きかえった」
オリバーの質問に、ミーシャは一瞬息を呑んだ。
『クレア。魔女の秘密は誰にも言ってはだめよ』
かつての教えが頭を過ぎる。しかし今は、魔女を守ることよりも、未来を守るほうを選ぶ。
ミーシャはリアムを見た。彼の碧い瞳を見て心を落ち着かせると、ゆっくり口を開いた。
「炎の鳥は、太陽の化身。そして、地中深くに宿る、猛炎です」
「猛炎……岩漿(マグマ)か」
「私たち魔女は死なない。太陽が地に沈み、再び生まれ現れるように、復活ができます」
「フルラ王の言っていたことはそのことか」
ミーシャは頷くと続けた。
「遙か昔。ガーネット家の始祖は、炎の鳥と盟約を交わしたそうです。どうして契約できたのかはわかりません。ただわかっていることは、炎の鳥はガーネット家に産まれた娘を子々孫々守り、力を貸してくれると言うこと」
ミーシャは片方の手のひらに、炎の鳥を呼んだ。
朱い炎の鳥は羽を広げ飛び立つと、燭台に止まった。そして、次の燭台へ飛び移りながら部屋の灯りを点けていった。
「人々を導き、支える道か。民を犠牲にしようとした俺に、民のために尽くせというのか?」
「大切な人を復活できるかもしれないと言われなければ、あなたは民を犠牲にしようとは思わなかった、違いますか?」
「……どうだろうな」
オリバーは自分の胸にある指輪を握って、目を伏せた。
「もし、あのまま復活できていたとしても、ルシアさまはきっと、喜ばれなかったと思います」
下を向いていたままのオリバーにミーシャは一歩近づいた。
「私だったら、愛する大切な人の手を汚してまで、復活したいとは思いません。幸せな未来は待っていませんから……」
もしもリアムが、民の命と引き換えに自分を蘇らせていたら、哀しくて生きていくのが辛くなっていた。
自分のために、誰かの命を秤にかけ、蹴落としたところで本当の幸せは訪れない。人の命はそんなに軽くない。
「では魔女は、なんで二度も生きかえった」
オリバーの質問に、ミーシャは一瞬息を呑んだ。
『クレア。魔女の秘密は誰にも言ってはだめよ』
かつての教えが頭を過ぎる。しかし今は、魔女を守ることよりも、未来を守るほうを選ぶ。
ミーシャはリアムを見た。彼の碧い瞳を見て心を落ち着かせると、ゆっくり口を開いた。
「炎の鳥は、太陽の化身。そして、地中深くに宿る、猛炎です」
「猛炎……岩漿(マグマ)か」
「私たち魔女は死なない。太陽が地に沈み、再び生まれ現れるように、復活ができます」
「フルラ王の言っていたことはそのことか」
ミーシャは頷くと続けた。
「遙か昔。ガーネット家の始祖は、炎の鳥と盟約を交わしたそうです。どうして契約できたのかはわかりません。ただわかっていることは、炎の鳥はガーネット家に産まれた娘を子々孫々守り、力を貸してくれると言うこと」
ミーシャは片方の手のひらに、炎の鳥を呼んだ。
朱い炎の鳥は羽を広げ飛び立つと、燭台に止まった。そして、次の燭台へ飛び移りながら部屋の灯りを点けていった。