炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*

それぞれに課せられた罰


「待った結果、また会えるなら、それでいいじゃないか」
 
 オリバーは瞳に哀しみを映しながら笑った。
叔父は二十年、焦がれた相手を本当に失ったのだという思いに至り、リアムも表情を曇らせた。

「炎の鳥がルシア様を天に召したのならきっと、今頃どこかに生まれ落ちていると思います。見た目も変わり、記憶も無くしているとは思いますが、……いつか、再び会えるといいですね」

 ……願わくば、また、オリバー大公と巡り会えますように。

「ところで、魔鉱石はどうした?」
「壊れた」
 オリバーの質問に、リアムは淡々と答えた。
「どうして壊れたんだ? 壊れた魔鉱石は今どこに?」
「叔父さんは信用できない。魔鉱石については教える気はないと言っているだろ」

 本当に教えるつもりはないらしく、目を逸らし、リアムは口を閉ざした。

「陛下。今後、オリバー大公のお力を借りるためにも、教えて差し上げてはいかがですか?」
 リアムは首を横に振った。
「話したことで、またミーシャが狙われるかもしれない。危険だ」
「魔鉱石を悪用しようなんて、もう考えていない。民に尽くすと約束するよ、だからそのためにも知りたい」
 にこりと紳士の笑みを浮かべるオリバーを、リアムは疑うように目を細めて見る。

「炎の鳥と魔鉱石を使って、帝都内にある大きな氷の塊を一晩かけて解かしました」
「ミーシャ」
 リアムに睨まれたが、「大丈夫」と声をかけ、そのまま説明を続けた。
「氷が解けた冷たい水は明け方頃、一気に水温を上げ、水蒸気となって消えました。その時、魔鉱石が割れて、壊れたんです」

 ミーシャは炎の鳥を呼んだ。両手に炎の鳥をとまらせる。
「割れた魔鉱石は、陛下の白狼、そして私の炎の鳥がそれぞれ持っています。この存在を知るのは一部の者だけ。リアムが持つサファイア魔鉱石共々、今後、公にはしないつもりです」

 魔鉱石があることを認め、世間に公表すると、また新たな争いが起きる。
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