炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
「私は陛下の病を治したい。陛下は魔女の印象を良くしたい。お互い相手のしたいことに協力する、ということですね?」
「そうだ」
ミーシャは下を向いた。自分の手のひらを見つめる。
「私は、みんなに好かれようとは思っていません。魔女の被害にあった人たちが大勢いるからです。先祖が犯した罪を粛々と償いたいと思っています」
「被害が出たのは戦争のせいだ。魔女のせいでも魔鉱石でもない」
彼の言葉に思わず顔をあげた。
「過去の痛ましい出来事をなかったことにはできない。だが、未来を生きる者たちのために我々が今、一番すべきことは、いがみ合ってさらなる禍根を残すことではない。互いを認め、尊重し歩み寄ることが大事だ」
胸がじんっと熱くなった。
「憎しみ合う者同士が歩み寄るのは、簡単なことではありません……」
詰まらせながらミーシャが言葉を紡ぐと、リアムはゆっくり目を閉じた。
「正直、憎しみを消すのは難しい。大事な人を失った哀しみも、とても理解できる。だからこそ、今生きている大切な人たちに同じ思いをさせたくない。魔女を憎むのではなく、前を向いて欲しいと思っている」
かつての弟子はとても立派に成長したと、ミーシャは密かに感動した。
「大切な人たちを守りたいという陛下の気持ちはよくわかりました。協力させていただきます」
「契約成立だな」
リアムはミーシャに手を差し出した。
幸せになることを諦めている弟子が心配だった。リアムの身体を治してあげたかった。
――婚約を利用して傍で観察する。そうすれば、魔力を使わないですむ方法をきっと、見つけることできる。
ミーシャは大きな彼の手をそっと握った。
「前を向く。それは、陛下もですよ」
リアムは一瞬目を見開いたあと、「善処はする」と、静かな声で言った。
「そうだ」
ミーシャは下を向いた。自分の手のひらを見つめる。
「私は、みんなに好かれようとは思っていません。魔女の被害にあった人たちが大勢いるからです。先祖が犯した罪を粛々と償いたいと思っています」
「被害が出たのは戦争のせいだ。魔女のせいでも魔鉱石でもない」
彼の言葉に思わず顔をあげた。
「過去の痛ましい出来事をなかったことにはできない。だが、未来を生きる者たちのために我々が今、一番すべきことは、いがみ合ってさらなる禍根を残すことではない。互いを認め、尊重し歩み寄ることが大事だ」
胸がじんっと熱くなった。
「憎しみ合う者同士が歩み寄るのは、簡単なことではありません……」
詰まらせながらミーシャが言葉を紡ぐと、リアムはゆっくり目を閉じた。
「正直、憎しみを消すのは難しい。大事な人を失った哀しみも、とても理解できる。だからこそ、今生きている大切な人たちに同じ思いをさせたくない。魔女を憎むのではなく、前を向いて欲しいと思っている」
かつての弟子はとても立派に成長したと、ミーシャは密かに感動した。
「大切な人たちを守りたいという陛下の気持ちはよくわかりました。協力させていただきます」
「契約成立だな」
リアムはミーシャに手を差し出した。
幸せになることを諦めている弟子が心配だった。リアムの身体を治してあげたかった。
――婚約を利用して傍で観察する。そうすれば、魔力を使わないですむ方法をきっと、見つけることできる。
ミーシャは大きな彼の手をそっと握った。
「前を向く。それは、陛下もですよ」
リアムは一瞬目を見開いたあと、「善処はする」と、静かな声で言った。