炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
宰相のほほえみ
――私と違って、リアムは英雄で尊い存在。
「リアムの『この身体はどうなってもかまわない』という考えを、変えて見せる!」
部屋にひとりになったミーシャは、リアムの外套をハンガーラックにかけながら、これからどうしようか考えた。
『ミーシャ。あなたにも未来があるのよ。前世の分まで幸せになって欲しい』
ふと、エレノアの言葉が頭を過ぎった。今なら少し、彼女の気持ちがわかる気がした。
前世の贖罪中の自分には幸せになる権利はないが、リアムにはある。どうしたら自分の幸せについて、前向きになってくれるだろう。
「ミーシャさま、失礼します」
部屋に入ってきたのは宰相のジーンと、侍女のライリーだった。
「すでにご承知と思いますが、夜はあなたさまのお披露目会をかねた歓迎パーティーです。ドレスや装飾品はこちらで準備させていただきました。この部屋の隣が衣装部屋です。夕刻までにご確認と、お着替えのしたくをお願いいたします」
輿入れまでの準備期間が短く、支度金はすべてグレシャー帝国が出してくれた。身一つできたため、パーティー用のドレスや装飾品は持ってきていない。
「宰相さま」
「ミーシャさま、私の呼びかたはジーンでけっこうですよ」
「では、ジーンさま。質問があります」
「はい。なんでしょうか」
「私がパーティーに出て、本当に大丈夫でしょうか?」
ジーンは笑顔を貼りつけたまま首をかしげた。
「……もしかして、出たくないと申されるおつもりですか?」
「ジーンさまはご存知ですよね? 私がここにいるのは治療が目的。春には国に帰ることを」
笑みを浮かべていた彼は真顔になった。
「はい。陛下から伺っております。あのかたの病については公にできません。ミーシャさまが婚約者ならば、陛下の傍にいても不自然じゃない」
「ただの婚約者ならば、傍にいても不思議じゃないでしょう。ですが、私は……魔女です」
「世間の魔女の評判を、心配しておられるのですか?」
ミーシャは頷いた。
「リアムの『この身体はどうなってもかまわない』という考えを、変えて見せる!」
部屋にひとりになったミーシャは、リアムの外套をハンガーラックにかけながら、これからどうしようか考えた。
『ミーシャ。あなたにも未来があるのよ。前世の分まで幸せになって欲しい』
ふと、エレノアの言葉が頭を過ぎった。今なら少し、彼女の気持ちがわかる気がした。
前世の贖罪中の自分には幸せになる権利はないが、リアムにはある。どうしたら自分の幸せについて、前向きになってくれるだろう。
「ミーシャさま、失礼します」
部屋に入ってきたのは宰相のジーンと、侍女のライリーだった。
「すでにご承知と思いますが、夜はあなたさまのお披露目会をかねた歓迎パーティーです。ドレスや装飾品はこちらで準備させていただきました。この部屋の隣が衣装部屋です。夕刻までにご確認と、お着替えのしたくをお願いいたします」
輿入れまでの準備期間が短く、支度金はすべてグレシャー帝国が出してくれた。身一つできたため、パーティー用のドレスや装飾品は持ってきていない。
「宰相さま」
「ミーシャさま、私の呼びかたはジーンでけっこうですよ」
「では、ジーンさま。質問があります」
「はい。なんでしょうか」
「私がパーティーに出て、本当に大丈夫でしょうか?」
ジーンは笑顔を貼りつけたまま首をかしげた。
「……もしかして、出たくないと申されるおつもりですか?」
「ジーンさまはご存知ですよね? 私がここにいるのは治療が目的。春には国に帰ることを」
笑みを浮かべていた彼は真顔になった。
「はい。陛下から伺っております。あのかたの病については公にできません。ミーシャさまが婚約者ならば、陛下の傍にいても不自然じゃない」
「ただの婚約者ならば、傍にいても不思議じゃないでしょう。ですが、私は……魔女です」
「世間の魔女の評判を、心配しておられるのですか?」
ミーシャは頷いた。