炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
「フルラ国とグレシャー帝国はもう十分、結束しているじゃありませんか。陛下の妃は彼をしっかり支えられるかたが良いと思います。麗しい姫、賢い姫はいます。私ではリアム陛下に釣り合いません!」
「弟子の嫁になるのがそんなにイヤ?」
図星をつかれ、うっと声を喉に詰まらせた。
「怖い顔をしない。今は我が娘よ」
「……娘と思っているのなら、そんなことを軽々しく口にしないでください」
エレノアは魔女として能力が高く、今のフルラ国を守護している。生まれ出た娘がクレアの生まれ変わりだと最初から理解していた。親子というより、何でも話せる親友に近い。ゆえに彼女はミーシャに遠慮がない。
「先日も、宰相さまが嘆いておりました。陛下は美姫に目も向けない。皇后や跡継ぎは必要ないの一点張りだと。しかし、陛下の足元を盤石にするためにも妃は必要。クレアを今も師と慕い、その一族で、表舞台に出てこないガーネット家のミーシャは飾りの皇后として都合が良いのです」
――都合が良いとはっきり言われてしまったわ!
「国の存亡のために、宰相があせって無茶な縁談を組む気持ちもわかるでしょう?」
「ですが、エレノアさま。この中身は、悪名高い魔女クレアですよ?」
自分の胸を叩き、続けた。
「過去は変えられません。ただの飾りの皇后ではなく、呪われた皇后になってしまう。師匠として、それだけは避けたいのです!」
「生まれ変わりなんて誰が信じますか? 黙っていればわからないわよ」
ミーシャは目を丸めた。
「それに、名乗るつもりもないのでしょう?」
「ですが……、」
「悪名高いのは世間の意見。私の知るミーシャも、クレアも悪い魔女ではない」
「いえ、悪い魔女です」
首を横に振って否定すると、エレノアはミーシャの手をそっと、両手で包みこんだ。
「大丈夫。あなたならきっと、呪いではなく祝福を彼に献上できるでしょう」
触れられた手から彼女の気持ちが伝わる。しかしミーシャは、視線を下に向けた。
「立派になった弟子とは違い、今の私にはクレアほどの魔力も才覚もありません。ミーシャとして、前世の過ちに巻き込まれ犠牲になった人たちを弔いたい。その家族を、子どもたちをと支えることに専念したいの」
「弟子の嫁になるのがそんなにイヤ?」
図星をつかれ、うっと声を喉に詰まらせた。
「怖い顔をしない。今は我が娘よ」
「……娘と思っているのなら、そんなことを軽々しく口にしないでください」
エレノアは魔女として能力が高く、今のフルラ国を守護している。生まれ出た娘がクレアの生まれ変わりだと最初から理解していた。親子というより、何でも話せる親友に近い。ゆえに彼女はミーシャに遠慮がない。
「先日も、宰相さまが嘆いておりました。陛下は美姫に目も向けない。皇后や跡継ぎは必要ないの一点張りだと。しかし、陛下の足元を盤石にするためにも妃は必要。クレアを今も師と慕い、その一族で、表舞台に出てこないガーネット家のミーシャは飾りの皇后として都合が良いのです」
――都合が良いとはっきり言われてしまったわ!
「国の存亡のために、宰相があせって無茶な縁談を組む気持ちもわかるでしょう?」
「ですが、エレノアさま。この中身は、悪名高い魔女クレアですよ?」
自分の胸を叩き、続けた。
「過去は変えられません。ただの飾りの皇后ではなく、呪われた皇后になってしまう。師匠として、それだけは避けたいのです!」
「生まれ変わりなんて誰が信じますか? 黙っていればわからないわよ」
ミーシャは目を丸めた。
「それに、名乗るつもりもないのでしょう?」
「ですが……、」
「悪名高いのは世間の意見。私の知るミーシャも、クレアも悪い魔女ではない」
「いえ、悪い魔女です」
首を横に振って否定すると、エレノアはミーシャの手をそっと、両手で包みこんだ。
「大丈夫。あなたならきっと、呪いではなく祝福を彼に献上できるでしょう」
触れられた手から彼女の気持ちが伝わる。しかしミーシャは、視線を下に向けた。
「立派になった弟子とは違い、今の私にはクレアほどの魔力も才覚もありません。ミーシャとして、前世の過ちに巻き込まれ犠牲になった人たちを弔いたい。その家族を、子どもたちをと支えることに専念したいの」