炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
「私、元々身体が弱いんです。ずっと部屋に閉じこもり、社交会デビューもしていない身です。陛下とは一度もお会いしたことがなく、申し込みは光栄でしたが、これまでは丁重にお断りしておりました」
「陛下の、『断ってくるからちょうどよかった』は……まだ、よくわからないですけれど、では、ミーシャさまはどうして今回はお受けに? 身体が弱いなら、フルラ国から遠く寒いこの国は、おつらいでしょう?」
「すべては、陛下のためです」
ナタリーはわからないと言いたげに、目を瞬いた。
「陛下は今もクレアを慕ってくださっております。私は自分の身体を心配することよりも、ガーネット家の者として、その恩を返したい。陛下に今こそ尽くそうと、考えたのです」
「陛下のために……」
ミーシャを見つめていたナタリーは、人に囲まれているリアムへと視線を移した。
「わたくし、陛下のことは幼少期から見知っております。ずっと、彼に仕えてきたのでわかるんです。陛下の心を占めるのは今も昔もただ一人、『大魔女クレア』さまだけ。この先もきっと、変わらない」
ナタリーの口元は笑っているが、ジーンと同じヘーゼルナッツ色の瞳は真剣だった。
「ミーシャさまはクレアさまに似ている。だからって、陛下の心が自分に向くと期待してはいけまん。あとあとつらくなるのは、あなたさま自身ですから」
労るような表情で、本心で言っていると伝わってくる。
彼女に悪気はなく、思っていることをはっきり言っているだけ。それができるのは、由緒ある家の育ちだから。裏表がないのは逆に好感がもてた。
ミーシャは姿勢を正した。
「陛下の、『断ってくるからちょうどよかった』は……まだ、よくわからないですけれど、では、ミーシャさまはどうして今回はお受けに? 身体が弱いなら、フルラ国から遠く寒いこの国は、おつらいでしょう?」
「すべては、陛下のためです」
ナタリーはわからないと言いたげに、目を瞬いた。
「陛下は今もクレアを慕ってくださっております。私は自分の身体を心配することよりも、ガーネット家の者として、その恩を返したい。陛下に今こそ尽くそうと、考えたのです」
「陛下のために……」
ミーシャを見つめていたナタリーは、人に囲まれているリアムへと視線を移した。
「わたくし、陛下のことは幼少期から見知っております。ずっと、彼に仕えてきたのでわかるんです。陛下の心を占めるのは今も昔もただ一人、『大魔女クレア』さまだけ。この先もきっと、変わらない」
ナタリーの口元は笑っているが、ジーンと同じヘーゼルナッツ色の瞳は真剣だった。
「ミーシャさまはクレアさまに似ている。だからって、陛下の心が自分に向くと期待してはいけまん。あとあとつらくなるのは、あなたさま自身ですから」
労るような表情で、本心で言っていると伝わってくる。
彼女に悪気はなく、思っていることをはっきり言っているだけ。それができるのは、由緒ある家の育ちだから。裏表がないのは逆に好感がもてた。
ミーシャは姿勢を正した。