炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
「公爵令嬢、恐れながらこのおかたは、陛下ではございません。先帝クロム陛下の嫡男で現在、王位継承権一位の『ノア皇太子殿下』でございます」
彼の傍に仕えていた侍女が、恭しく頭をさげながら説明してくれた。
ミーシャは小さな皇子に屈膝礼をした。
「偉大なるグレシャー帝国の皇太子さま。ごあいさつ申しあげます。フルラ国ガーネット女公爵の娘、ミーシャ・ガーネットと申します」
「はじめまして。ノア・クロフォードです」
ノアは、にこりとほほえんだ。
――か、かわいい!
ノア皇子の髪の色は金色で、銀髪のリアムとは違う。目や唇などのパーツも似ていない。ただ、かもし出している雰囲気が、彼の幼少期を思い起こさせた。
「ミーシャさま。寒いならぼくがあたたかくなるもの、持ってきてあげようか?」
やさしいところも同じだ。
ミーシャはノアと視線を合わせるためにしゃがんだ。
「ノア皇子、ありがとうございます。殿下のやさしくて温かい心づかいのおかげで、寒いのなんてすっかりなくなりました。もう大丈夫です」
ノアは「そっか」と言うと、またにこりと笑った。
皇子の彼には失礼かもしれないが、ノアは春に咲く、黄色いタンポポのようで癒される。
「ねえ、ミーシャさまは魔女なんだよね? 炎の鳥を見せて欲しいって言ったら、だめかな?」
「炎の鳥を、ここで?」
周りに視線を向けた。
このパーティーはミーシャのお披露目が目的だ。それなのに、次期正妃のもとにあいさつに来たのは、ナタリーだけだった。
他の者は魔女を恐れているらしく、遠くから眺めるだけ。今もちらちらと視線を向けてくる。
引きこもり令嬢のミーシャに、取り立てて媚びへつらう必要もないと思っているのだろう。それでいいし、合っている。だが、
『……魔女の印象がよくなるように、協力して欲しい』
リアムとの約束を守るために、自分のできる範囲でやれることはしたい。
なにより、目の前にいるノア皇子を喜ばせてあげたい。
「ろうそくの灯ほどの小ささでもよろしければ、お見せいたしましょう」
「本当に? ありがとう」
ノアは目を輝かせた。
彼の傍に仕えていた侍女が、恭しく頭をさげながら説明してくれた。
ミーシャは小さな皇子に屈膝礼をした。
「偉大なるグレシャー帝国の皇太子さま。ごあいさつ申しあげます。フルラ国ガーネット女公爵の娘、ミーシャ・ガーネットと申します」
「はじめまして。ノア・クロフォードです」
ノアは、にこりとほほえんだ。
――か、かわいい!
ノア皇子の髪の色は金色で、銀髪のリアムとは違う。目や唇などのパーツも似ていない。ただ、かもし出している雰囲気が、彼の幼少期を思い起こさせた。
「ミーシャさま。寒いならぼくがあたたかくなるもの、持ってきてあげようか?」
やさしいところも同じだ。
ミーシャはノアと視線を合わせるためにしゃがんだ。
「ノア皇子、ありがとうございます。殿下のやさしくて温かい心づかいのおかげで、寒いのなんてすっかりなくなりました。もう大丈夫です」
ノアは「そっか」と言うと、またにこりと笑った。
皇子の彼には失礼かもしれないが、ノアは春に咲く、黄色いタンポポのようで癒される。
「ねえ、ミーシャさまは魔女なんだよね? 炎の鳥を見せて欲しいって言ったら、だめかな?」
「炎の鳥を、ここで?」
周りに視線を向けた。
このパーティーはミーシャのお披露目が目的だ。それなのに、次期正妃のもとにあいさつに来たのは、ナタリーだけだった。
他の者は魔女を恐れているらしく、遠くから眺めるだけ。今もちらちらと視線を向けてくる。
引きこもり令嬢のミーシャに、取り立てて媚びへつらう必要もないと思っているのだろう。それでいいし、合っている。だが、
『……魔女の印象がよくなるように、協力して欲しい』
リアムとの約束を守るために、自分のできる範囲でやれることはしたい。
なにより、目の前にいるノア皇子を喜ばせてあげたい。
「ろうそくの灯ほどの小ささでもよろしければ、お見せいたしましょう」
「本当に? ありがとう」
ノアは目を輝かせた。