炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
「けれど、ここは食事をする場所です。ちょうど風に当たろうと思っていたので庭に出ましょうか」
「ミーシャさま、炎の鳥を出すのは危険では? おやめになったほうがよろしいのではないでしょうか?」
皇太子の侍女は、心配らしく青白い顔をしている。
「大丈夫。炎の鳥は燃やす対象を選べます。皇太子さまに危険はありません」
彼女を安心させようと、笑顔で答えた。
「……さすがフルラの魔女。炎を自在に操るご自信がおありのようですね」
ノアが「お母さま?」と驚いて声をあげ、ミーシャも振り返った。
――お母さまということは、このかたがビアンカ皇妃!
ミーシャは彼女に向かって屈膝礼をした。
「ごあいさつ申しあげます。フルラ国ガーネット女公爵の娘、ミーシャ・ガーネットと申します。ビアンカ皇妃さま。お初にお目にかかります」
ビアンカ・クロフォードは数年前に逝去した先帝クロム・クロフォードの唯一の妃、そして、ノアの母親だ。
「春うららかな大地フルラ国から、この豪雪の地グレシャー帝国へようこそ。ご令嬢、歓迎いたしますわ」
後頭部に結い上げられているビアンカの髪色はブラウン。リアムより年上の彼女のドレスはシンプルで派手ではないが質の良いものだった。清楚で高貴な女性だと伝わってくる。
ビアンカは、ノアに視線を向けた。
「ノア。探しましたよ。勝手に離れてはいけないと、何度も言っているでしょう?」
静かに、だけどはっきりとした口調だった。ビアンカに注意されたノアからは、陽だまりのような愛らしい笑顔が消えた。不安そうに目を泳がせてから下を向く。
「……ごめんなさい。お母さま」
「しかも、炎の鳥を見てみたいだなんて。あなたは氷の国の皇太子。ご自身の立場をわきまえなさい」
ビアンカは、扇子を広げ口元を隠すと蔑むような眼差しで自分の息子を見た。
「ミーシャさま、炎の鳥を出すのは危険では? おやめになったほうがよろしいのではないでしょうか?」
皇太子の侍女は、心配らしく青白い顔をしている。
「大丈夫。炎の鳥は燃やす対象を選べます。皇太子さまに危険はありません」
彼女を安心させようと、笑顔で答えた。
「……さすがフルラの魔女。炎を自在に操るご自信がおありのようですね」
ノアが「お母さま?」と驚いて声をあげ、ミーシャも振り返った。
――お母さまということは、このかたがビアンカ皇妃!
ミーシャは彼女に向かって屈膝礼をした。
「ごあいさつ申しあげます。フルラ国ガーネット女公爵の娘、ミーシャ・ガーネットと申します。ビアンカ皇妃さま。お初にお目にかかります」
ビアンカ・クロフォードは数年前に逝去した先帝クロム・クロフォードの唯一の妃、そして、ノアの母親だ。
「春うららかな大地フルラ国から、この豪雪の地グレシャー帝国へようこそ。ご令嬢、歓迎いたしますわ」
後頭部に結い上げられているビアンカの髪色はブラウン。リアムより年上の彼女のドレスはシンプルで派手ではないが質の良いものだった。清楚で高貴な女性だと伝わってくる。
ビアンカは、ノアに視線を向けた。
「ノア。探しましたよ。勝手に離れてはいけないと、何度も言っているでしょう?」
静かに、だけどはっきりとした口調だった。ビアンカに注意されたノアからは、陽だまりのような愛らしい笑顔が消えた。不安そうに目を泳がせてから下を向く。
「……ごめんなさい。お母さま」
「しかも、炎の鳥を見てみたいだなんて。あなたは氷の国の皇太子。ご自身の立場をわきまえなさい」
ビアンカは、扇子を広げ口元を隠すと蔑むような眼差しで自分の息子を見た。